カレッジマネジメント197号
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64大学が担う教育、研究、社会貢献に対する期待が高まる一方で、大学を支える経済・財政的環境が厳しさを増す中、教育研究活動等の質を保証し、それらの活動の改善を促し、その状況を社会に示すことを目的とする「評価」が一層重要になりつつある。大学に係る評価について、近年の歩みを簡単に振り返ると、1991年の設置基準の大綱化に併せて、自己点検・評価が努力義務化され、1999年にはその実施が結果の公表とともに義務化され、加えて、学外者による検証が努力義務化されている。さらに、2002年の学校教育法改正により、自己点検・評価の実施と結果の公表に係る規定が法律上明示されるとともに、認証評価制度(機関別認証評価と専門職大学院評価)が導入され、ともに2004年度から施行されることとなった。また、2004年の国立大学の法人化に伴い、国立大学法人評価が開始され、公立大学についても2004年以降、法人化された大学について公立大学法人評価が実施されることとなった。私立大学については、1984年度に学校法人運営調査制度が創設されているが、2014年の私立学校法改正により、学校法人の運営が法令等に違反し、著しく不適正な状態に陥っているときに、所轄庁が報告徴収・立入検査、措置命令、従わない場合の役員解任勧告を行える仕組みが整備された。これ以外にも、大学改革を促進するための国の補助事業においては、達成状況の確認と改善のための評価体制の構築が求められ、採択後は中間評価と事後評価が実施される。このように、いまや大学の活動は評価を抜きに語れないと言って過言ではない。その一方で、「評価疲れ」という言葉に象徴される通り、評価にかかる負荷の増大を問題視する声や評価自体の実効性を疑問視する見方も広がっているように思われる。「評価」が不可欠であることは言うまでもなく、その充実に向けた課題も多い。同時に、「評価のための評価」に陥ることなく、それに費やされる資源や時間を抑えながら、実効性の高い評価を目指していかなければならない。本稿では、そのために何が必要かについて、多角的に検討してみたい。社会からの理解と支持、教職員への浸透に課題最初に、機関別認証評価について、大学評価・学位授与機構(以下略称NIAD)、大学基準協会(以下JUAA)、日本高等教育評価機構(以下JIHEE)がそれぞれ実施したアンケート結果を基に、成果や課題を見てみたい。NIADは、毎年度、評価の実施直後に評価対象校と評価担当者にアンケートを実施しているが、第1サイクル(2005年度から2011年度)の結果を総合して分析した『進化する大学機関別認証評価−第1サイクルの検証と第2サイクルにおける改善−』(2013.3)から要点を拾い出すと以下の大学を強くする「大学経営改革」内部質保証システムとIRを確立して「評価」を大学機能の高度化につなげる吉武博通 筑波大学 ビジネスサイエンス系教授リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016大学の活動は「評価」を抜きに語れない64
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