カレッジマネジメント197号
62/72

66リクルート カレッジマネジメント197 / Mar. - Apr. 2016いとの認識に基づくものだとしたら、中期目標・計画や法人評価の仕組み自体の根本が問われることになる。公立大学協会が行った公立大学法人評価に対するアンケートでは、同一の質問に対する肯定的な回答の割合が、公立大学法人を評価する評価委員長と設立団体の回答に比べて、法人側の回答の方が小さいケースが見受けられる。また、公立大学法人評価においても、法人の負担感の大きさが指摘されている。(公立大学協会, 2015.3,『公立大学法人評価に関する調査研究』参照)国立大学法人と公立大学法人では事情が異なる面もあるが、法人評価のあり方を問い直す時期に来ているように思われる。内部質保証システムを構築し、質の文化を定着させる自己点検・評価、認証評価、法人評価のいずれにおいても、「評価」が一定の役割を果たしていることは肯定的な回答が多いことからも明らかである。一方で、アンケートに対する大学側の回答者の多くは評価を担当する役員や教職員である。学部・研究科や各部署の活動に如何なる効果をもたらしているのかが十分明らかにされているわけではない。また、評価に対する認知や関心が広がらない限り、社会への説明という目的を果たし得ない。加えて、作業量の大きさについてはいずれの評価でも大きな問題となっている。これらの課題に対処するために最も注力すべきは、大学自らの意思と工夫により、「内部質保証システム」と「IR(Institutional Research)」を確立し、それを定着させることである。JUAAは、第2期の認証評価に当たり、「内部質保証システム」の構築を評価システム改革の主眼としている。評価に客観性は不可欠だが、評価者と被評価者の間の情報の非対称性は、如何に精緻化しても解消されることはなく、コストも増加する。JUAAは、内部質保証(Internal Quality Assurance)を、「PDCAサイクル等の方法を適切に機能させることによって、質の向上を図り、教育・学習その他のサービスが一定水準にあることを大学自らの責任で説明・証明していく学内の恒常的・継続的プロセス」(大学基準協会『大学評価ハンドブック』)であると説明する。NIADは、内部質保証を「高等教育機関が、自らの責任で自学の諸活動について点検・評価を行い、その結果をもとに改革・改善に努め、これによって、その質を自ら保証すること」(大学評価・学位授与機構『高等教育に関する質保証関係用語集第三版』)と定義している。同機構の林 隆之准教授は、大学自身が第一義的に負う教育の質保証責任について、「それぞれの教育プログラムを提供する教員や部局自らがその質を保証する責任」と「機関としての大学がその内部で提供する教育プログラムの質保証を行う責任」の2つを挙げた上で、「教育内容や方法を創造的に進化・発展させ、継続的に質の向上を進めていくことを促進」し、「質の文化(Quality Culture)」として定着させることの重要性を指摘している。そして、「内部質保証が十分に整備されていれば、『内部質保証システムの有効性』の確認のみに焦点をおくオーディッド型外部質保証もありうる」と述べる。(林 隆之, 2013.3, 「教育の内部質保証システム構築に関するガイドライン(案)」内部質保証システムの構造・人材・知識基盤の開発に関する研究会報告より)「評価」は、国が法令で義務づけ、それを受けて大学が学部・研究科に、学部・研究科が教員に指示または協力を要請する形で進められてきた。制度上、この関係が変わることはないが、より重要なことは、教員個々あるいは組織単位で自発的に教育内容や方法の改善が進む状況をつくり出すことである。どうすればそれが実現するかを個々の大学の実情に即して考え、そこを出発点にして、教職員を参加させながら内部質保証システムを構築していく必要がある。経営層が根拠データに基づく大学経営を意識・宣言もう一つの課題である「IR」については、近年急速に関心が高まり、IRを冠した組織を置く大学も見受けられるが、我が国の高等教育全体としてみれば緒に就いたばかりといえる。如何なる組織であろうとも、それを維持・発展させていくためには、目指す方向を定め、機能を高度化させ、その成果

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

page 62

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です