カレッジマネジメント198号
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16――そうなのですね。アクティブラーニング等指導方法の改善については後ほど触れるとして、今回の教育改革では、「学力」を広く捉え直していると思います。先生自身は、「学力」をどのように捉えているでしょうか。小林さんや私が委員を務める高大接続システム改革会議は、2015年9月の「中間まとめ」で、高大接続答申(2014年12月)に基づき次のように定義しました。「十分な知識・技能」「それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力」「主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度」これは、学校教育法第30条第2項で示された、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的に学習に取り組む態度」という、初等中等教育で重視すべき学力の3要素を踏まえて、敷衍したものです。さらに、私が委員を務める中教審の教育課程企画特別部会では、2015年8月の「論点整理」において、育成すべき資質・能力の要素として、3つの柱を立てました(図表2)。①何を知っているか、何ができるか(個別の知識・技能)②知っていること・できることをどう使うか(思考力・判断力・表現力等)③どのように社会・世界と関わり、よりよい人生を送るか(主体性・多様性・協働性、学びに向かう力、人間性等)これは次期学習指導要領の根幹をなす考え方であり、学力を相当幅広く捉えた点に特色があります。特に③は、以下のように情意や態度に関わるものまで含まれるとしています。即ち、主体的に学習に取り組む態度も含めた学びに向かう力、自己の感情や行動を統制する能力、自らの思考のプロセス等を客観的に捉える力、多様性を尊重する態度と互いの良さを生かして協働する力、持続可能な社会づくりに向けた態度、リーダーシップやチームワーク、感性、優しさや思いやり等です。学習指導要領の改訂に向け、学力についてしっかり掘り下げたことは非常に重要です。リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016図表1 高等学校教育の質の確保・向上に向けた全体的な取組について(案)義務教育(小学校、中学校) 幼稚園・保育所・認定こども園 家庭・地域 ①学習・指導方法の改善と 教員の指導力向上 ●教員の養成・採用・  研修の見直し ●学習指導要領の改訂 ●学習評価の改善 ●多様な学習成果を測定する  ツールの充実 ●学校評価の促進 ③多面的な評価の推進 ②教育課程の見直し 学習・指導 方法 教育内容 学校での活動 地域・社会での活動 高等学校段階における多様な学習活動 <生徒の多様な進路> 大学、専門学校、就職 ボランティア 活動 文化・運動部 活動 日々の授業 就業体験 留学 定期 考査 生徒会 活動 各種大会や資格取得など 学校外での活動 学習評価 学校評価 教員 生徒 出典:平成27年9月15日 高大接続システム改革会議「中間まとめ」 より編集部にて作成高校教育改革の基盤となるのは、新しい「学力の3要素」

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