カレッジマネジメント198号
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22リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016課題という自覚が弱く、提案された解決策も他者任せの感が強いものであったからである。その反省にもとづき、高校生ができることという視点で、町内会長等と一緒に地区の魅力や課題を探し、まちをより魅力的にするための提案を発信する方式に切り替えたのであった。この変更は成功し、生徒はより能動的に学習に取り組むようになった。自ら課題を発見して行動するようになり、夏休みに自主的にフィールドワークを続けるグループもでてきた。提案も具体的になった。地震の際の避難方法を考える、市の防災施設を調査して不足する用品を発見する、地区の湧水マップづくり…といったように、生活に密着した課題に関する提案が多く出された。中には、地区の婦人部の方々の協力を得て、地区の梅まつりで販売するおまんじゅうを作ることで多世代のつながりを作り出すなど、当初は思いもしなかった形で実現するものもあった。図表3にあるように、地域との連携の体制は万全である。その中で、いかに生徒が自覚的に取り組むための仕掛けを作るかが、「活」を活性化させる鍵となる。課題は与えられるものではなく、自ら探すものなのだ。視野を広げ、学習の意義を深める大学や企業での研修探究心を育成するためには、高校卒業後の進路である大学や企業がどのような場であるかを高校の段階から知っておくことが重要である。そのことで、高校での学習の意義の理解度も高まる。それが「究タイム」と並ぶもう1つの柱の、キャリア教育である。キャリア教育といえば各界で活躍する人の話を聞くといった講話型が多い中、この学校ではここでも課題解決型学習を取り入れており、学校のコンセプトは貫徹している。その代表的な2つが、各年次の夏季集中研修と、2年次の冬の海外探究研修である。学科のミッションによって、内容は異なっている。総合探究科の夏季集中研修は「研究実践」として、大学におけるワークショップ、フィールドワーク、ポスター発表等を行っている。その他、2年次には日本を訪れているハーバード大学の学生との英語キャンプがある。高校生5人、ハーバード大生1人のチームで、日本文化を紹介する英語でのプレゼンテーションを作り込む。この英語体験を経て、2年次の冬にはボストンでの海外探究研修が待っている。ハーバード大学では講義を聴講し、マサチューセッツ工科大学では工学ワークショップを体験する。それ以外にも、現地の高校生と1対1になって授業を受けるなど、盛りだくさんのプログラムである。ビジネス探究科の夏季集中研修は「企業研究」である。ビジネス探究科の場合、就職する生徒の就職先は県内企業が多いが、グローバル化する経済に立ち向かう力をつけることを課題として、1年次は東京での日本を代表する企業での研修、2年次は冬の海外探究研修で台湾の企業等でマーケティング研修を行う。また、3年次の夏季集中研修で実施する、3人1グループで派遣先の企業のプロモーションをするインターンシップがユニークである。スポーツ探究科の夏季集中研修は「野外活動」として、カーリング、キャンプ、富士登山と日頃経験するチャンスの少ない活動を校外で行う。海外探究研修では、スポーツを競技として捉えるだけでなく、スポーツ文化という視点で考えることを狙いとして、オランダとドイツを訪問しヨーロッパで盛んな地域のクラブスポーツで実習を行うことを主な目的にしている。単に見聞を広めるだけに終わることなく、夏季集中研修で眺野大輔 指導主事齊藤照安 校長図表3 地域との連携方法大学、小中学校、企業、 地域の諸団体等の協力者 自分達が行ってみたい調査対象に直接アプローチ 「市役所プラン」を始め、 様々な協力 「市役所プラン」などへの 協力要請 ※現在も探究授業などの推進支援として学校に席を置き、連携先の開拓やプログラム調整を行っている。 富士市教育委員会 富士市立高等学校教育推進室 ※究タイムのカリキュラムの開発・指導計画の作成を担当する分掌 富士市立高校 企画研究課 富士市役所 生徒 授業プラグラムに 協力 講演や調査等の 協力要請 連携先の紹介 連携先の要望

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