カレッジマネジメント198号
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28大阪市立大阪ビジネスフロンティア高等学校(略称OBF)は、2012年4月に開校し、全国で唯一のグローバルビジネス科を設置している。卒業後を見据えた授業改善とともに、大学や産業界と連携して高大7年間を見据えたカリキュラムや特別入学制度枠の設定等、高大連携プログラム制度を積極的に推し進めている(図表1参照)。1900年の「大阪教育十か年計画」の策定以降、大阪市立の商業高校は、商いの町「大阪」にふさわしい人材を輩出し続けてきた。なかでも、東商業高等学校・市岡商業高等学校・天王寺商業高等学校という深く輝かしい歴史を持つ3校が集い、商業教育の伝統を引き継ぎ、それらを刷新して、これからの時代の変革をリードできる人材を育てることを目的に生まれ変わったのがOBFである。商業高校の本質であるキャリア教育を進め、「大学とつながる」「産業界とつながる」「世界につながる」新しいタイプのビジネス高校であり、歴史ある母体校からOBFへと「伝統をつなげ」、「HITOがつながる」学校になるためのチャレンジを続けている。様々な「つながり」を強めているOBFであるが、本稿では特に「大学とつながる」ことに焦点をあて、具体的な取り組みや今後の課題について、母体校の一つである天王寺商業高等学校で長く教鞭をとられてきた澤井宏幸校長にお話をうかがった。ビジネススペシャリストの養成を目指した「グローバルビジネス科」ビジネス界では、経済活動のグローバル化が進展しており、国際的なビジネス社会で活躍できる、高度な専門性を備えた「ビジネススペシャリスト」の養成が急がれている。国際的なビジネス社会はもはや海外においての話ではなく、日本国内でも急速に展開されており、商いの町「大阪」を支える中小企業でも「ビジネススペシャリスト」が求められている。こうしたニーズに応えるべく、OBFでは「国際的なビジネス社会で活躍できる、高度な専門性を備えた、ビジネススペシャリストの育成」を教育目標とし、商業と英語を融合させた「グローバルビジネス科」として教育活動にリクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016大学と連携した7年間のカリキュラムで学生の学ぶ意欲と専門性を伸ばす大阪市立 大阪ビジネスフロンティア高等学校C A S E3DATA【学  科】グローバルビジネス科【創  立】2012年(3校が統合)【生 徒 数】928人(男子230人・女子698人)【進路状況】四年制大学125人 短大12人 専門学校59人 就職90人 その他5人(2015年度実績)澤井宏幸 校長図表1  高大連携プログラムの全体イメージと接続科目の位置づけ・実用英検2級 ・ITパスポート ・日商簿記2級 ・全商1級 (英語・情報・簿記) ・共通基礎学力 ・探究型学習 大阪 ビジネス フロンティア 高校 学部 (前期) 学部 (後期) 大学院 大学 高校 大学院 (修士) 企業等のビジネスリーダー 高度専門職 ・学科・コースごとの発展的・ 応用的専門教育 ・高度専門教育 経営学修士 会計学修士 ・専門基礎(経営リテラシー) ビジネスマネジメントⅠ・Ⅱ ビジネス基礎 ・専門基礎(経営リテラシー) ビジネスマネジメントⅢ・Ⅳ ・実用英検1級 ・応用情報技術者 ・日商簿記1級

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