カレッジマネジメント198号
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29当たっている。その教育課程からは、学校を卒業し、企業に就職してから最低限必要な、ひいては国際社会を生きていくうえで必要な「英語」「情報」「会計」を柱とし、普通教科をバランス良く配置していることが分かる(図表2参照)。週3日7時限授業(週当たり33時限授業)の実施により、基礎学力の充実を図るとともに、一般的な商業科に比べて英語の時間数を多く設定するなど、国際ビジネス社会に通用する教養や言語力の育成にも力を入れている。商業高校卒業生の大学進学後の課題に向き合うこの教育課程の背景には、社会のニーズのみならず、商業高校卒業生が大学進学後に抱える課題もあると澤井校長は指摘する。OBFに限らず、商業高校出身の大学進学者は増えているが、大学教育との接続に課題を感じている商業高校は多い。商業高校卒業生は「まじめで専門科目に関して非常に優秀」という評価を得る一方で、「英語で躓いている」「教養面がやや不足している」といった指摘もあるという。これらの指摘には、商業に関する科目に重きを置く、商業高校の教育課程の特異性が影響していることは十分に考えられる。また、OBFで柱とする「英語」「情報」「会計」では、資格取得のためのトレーニングではなく、ビジネス実践に「ツカエル」知識や技術を教育し、生徒の知的好奇心にも働きかけている。その背景にも、商業高校卒業生が大学進学後に抱える課題があるという。商業高校から大学に進学する場合、経済・経営・商学系統の学部に進学するケースが目立つが、普通科高校卒業生と同じ出発点から、同じ速度での学習となり、商業高校卒業生の専門性の更なる深化・先鋭化は必ずしも保証されていない。さらにいえば「入門」「概論」といった基礎科目では既習内容との重なりも多く、モチベーションを低下させる学生もいるという。これは決して大学側だけの問題ではなく、高校での教育にも問題があると澤井校長は考えている。商業高校の中には、資格取得を目的とした教育に重きを置く高校もある。確かに資格取得という成果は目に見えやすく、進学や就職の際にも直接的に役立つが、あまりに多くの資格や検定を課すことは「検定疲れ」をもたらし、大学教育に対するモチベーションの低下も招きかねないという。7Steps:高大7年間を見通したプログラム社会のニーズや、商業高校生が大学進学後に抱える課題に対応するためには、高校3年間での教育の完成を目指すだけではなく、高大7年間を見据えた教育課程を編成し、高校と大学、ひいては社会との「つながり」を構築することにより、高度で先鋭的な人材教育に取り組む必要があるのではなかろうか。こうした問題意識に基づき、OBFでは大学や産業界と連携して「7Steps~高大7年間を見通したプログラムで『ほんまもんのビジネス』を学ぶ~」を展開している。Step1から3は高校が担い、「文章を読み取る力、表現する力を身につける。『英語』『情報』『会計』の力で『夢』につながる扉を開く(Step1:1年生)」「探究型学習や課外活動を通して、社会人として必要とされる『社会人基礎力』を身につける(Step2:2年生)」「ビジネスのスペシャリストとして、進路希望に応じた特別講座で一人ひとりの『夢』につなげる(Step3:3年生)」ことを目指す。Step4以降は大学が担い、「高度な専門知識をリクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016図表2 グローバルビジネス科の教育課程1234567891011121314151617181920212223242526272829303132331年国語総合現代社会数学Ⅰ科学と人間生活体育保健総合英語英語表現情報処理簿記ビジネス基礎HR4232314235312年現代文B日本史B数学A化学基礎生物基礎体育保健英語理解英語表現情報演習Ⅰ財務会計Ⅰ原価計算ビジネスマネジメントⅠHR42222142433313年国語演習日本史B世界史A数学演習体育家庭基礎音楽Ⅰ美術Ⅰ書道Ⅰ英語理解選択A選択B選択C課題研究ビジネスマネジメントⅡHR422222246131共通科目英語情報会計高大接続科目特集 高大接続改革への「高校の挑戦」
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