カレッジマネジメント198号
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322016年4月、ものづくり都市・京都に新しい高校教育のあり方を問う注目の高校が開校。「京都工学院高等学校」は、京都市立洛陽工業高校と伏見工業高校の統合再編という枠組みを超え、「次世代の科学技術を担う工学系人材の育成」をコンセプトに創設された。この取り組みには、どのような想いと新たな価値があるのか、創設のキーマンである砂田浩彰校長と有本淳一先生にお話をうかがった。次代を切り拓く「ものづくり」人材育成は日本の急務科学技術の世界は、まさに日進月歩。スマートフォンやタブレットPC、時計型の端末等、つい最近まで夢の領域だったものが、日常生活に欠かせないコミュニケーションツールとなり、世界を動かしている。「ものづくり」の本当の意義は、より快適で安全な社会を創造し、世界を変えていくことにある。工学系人材の求められる姿も大きく変わってきているのだ。現在の進路選択の構造の中では、大学進学率の高い普通科が上位に位置し、工業高校等の職業系高校は下位に評価される傾向がある。このままで、次代を切り拓く技術者は育つのであろうか。教育機関の発想の転換、工学系人材育成のスタートラインともいえる工業高校の改革は、日本にとっても大きなテーマだ。日本有数のものづくり企業が誕生した地域である京都では、「京都市立工業高校将来構想委員会」において、「市立工業高校で将来を見据え育むべき能力」「ものづくりへの意欲・興味関心の高い生徒の確保」「産学連携・高大連携による教職員のスキルアップ」等多角的な観点から議論を重ね、次代のものづくりの担い手を育む改革が推進されてきた。先進的な大学・企業と連携し、最高の教育を目指す開設準備室での準備段階から、その動きは注目されていた。まず、教育プログラムの軸を形作るために、先進的な教育を実践する大学と次々と連携を図っていった。まずは、PBL(問題解決型学習)先進校の金沢工業大学、アクティブ・ラーニング先進校の産業能率大学との間に、京都市教育委員会を介して連携協定を締結。プロジェクト型学習は、この金沢工業大学の「プロジェクトデザイン教育」と「夢考房プロジェクト」をモデルにした。さらには、天文学が専門である有本先生の発案で、JAXA(宇宙航空研究開発機構)との連携協定をも締結。これにより、JAXAは京都工学院高校を「宇宙航空教育の推進モデル校」に指定し、宇宙航空を素材にした教育活動の実施に向けた授業や教員研修等にも動き出す。京都唯一の工学系国立大学である京都工芸繊維大学とも、大学院博士課程までを睨んだ高大接続への道も模索している。高度で最先端の知識・技術・考え方に触れることで、生徒に今学んでいることの先をイメージさせ、一人ひとりのより深い学びとモチベーションの創造につなげようという狙いがある。「プロジェクトゼミ」と「STEM(ステム)教育」の衝撃京都工学院高校の教育の最大の特色は、「プロジェクトゼミ」と「STEM(ステム)教育」にある。プロジェクトゼミは、従リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016高校の枠を超えた大学・企業との連携で、最高の工学系「ものづくり」教育を目指す京都工学院高等学校2016年4月にスタートした新設校の挑戦REPORT

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