カレッジマネジメント198号
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34今回の中央教育審議会(以下では「中教審」という)の審議まとめでは、「卒業認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)以下では「DP」という」、「教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)以下では「CP」という」、「入学者受け入れの方針(アドミッション・ポリシー)以下では「AP」という」の3つのポリシーを「一貫性あるものとして策定し、公表する」ことが学校教育法施行規則の改正により、全ての大学(短期大学・高等専門学校もこれに準じる)に義務づけられた。併せて、それらの「策定及び運用に関するガイドライン」が中教審大学分科会によって作成されている。本稿では、1)この制度改正の背景を理解し、2)どのような流れで3つのポリシーを策定していけばいいのか、3)3つのポリシーを改正して、どのように改革を実質化していけばいいのか、といったことについて述べていきたい。制度改正の背景今回の3つのポリシーの義務化については、よく分からないという声を耳にする。混乱する要素を考えてみよう。①これまでも3つのポリシーについての議論や中教審答申があったのに、これまでの答申との繋がりをどう理解すれば良いのか。また、質的転換答申で出ていたアセスメント・ポリシーはどうなったのか。②途中で公表されていたポンチ絵を見ても、PDCAサイクルと3つのポリシーの関係がよく分からない。そして、③具体的にこれまで作っている3つのポリシーの何をどのように変えなければならないのか、といったことなどだ。まず、これまで国内の大学は3つのポリシーをどの程度作成してきているのかを確認してみよう。文部科学省等の調査結果を見ると、DPについては、大学全体としては79.0%(国立76.7、公立63.0、私立81.5)、学部としては93.9%(国立100、公立82.3、私立94.6)が定めている。CPについては、大学全体として定めている大学が78.7%(国立76.7、公立64.2、私立81.0)である。学部単位では94.0%(国立98.6、公立86.1、私立93.1)に達している(いずれも2013年度文科省調べ)。APについては、全大学の99.6%が定めている(2014年3月大学入試センター研究開発部)。大学全体での作成や、学部単位でも公立大学が低いものの、学部単位ではほとんどの大学が3つのポリシーの作成自体はされている。3つのポリシーは、中教審答申でいえば将来像答申(2005年)で登場したが、この段階では入試の多様化の方向性の中で、APの作成により重点が置かれていたと見ることができる。学士課程答申(2008年)では、3つのポリシーの明確化が、リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016三つのポリシー(AP・CP・DP)をどう実質化するか──ガイドライン策定を受けて濱名 篤 関西国際大学学長 中央教育審議会臨時委員(大学分科会)寄 稿
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