カレッジマネジメント198号
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36リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016何をどのように作成すればいいのか図表1は、中教審大学分科会大学教育部会の最終会議時点でのポンチ絵である。PDCAサイクルの各段階に3つのポリシーがはめ込まれ、Doの段階から矢印が出され個々の授業でも教員が授業についてのPDCAを行うという説明が盛り込まれている。3つのポリシーにアセスメント・ポリシーを加えて説明すれば、Plan(DP)-Do(CP)-Check(アセスメント・ポリシー)と教育活動の流れに沿った説明ができると筆者は同部会での審議の際に再三発言したが、アセスメント・ポリシーを同列に並べてもらうことはできなかった。その結果、どのようにしてDPに掲げた目標が達成できているのかというマクロな評価と、学生個人の学修活動をどのように成績づけるかというミクロな評価については、いずれもCPの中で明らかにするということになった。「教育課程の編成・実施の方針」の中に、高大接続答申の文中ではアセスメント・ポリシーで定めることになっていた内容が盛り込まれるということになっているのである。図表2は筆者が、3つのポリシーとアセスメント・ポリシーの関係を整理しなおしたものだ。3つのポリシーのうち最初に作成しなければならないのは、DPである。目標を定めなければ、内容も方法も、評価のあり方も決めようがない。DPの策定は各大学に任されている。建学の精神をはじめ各大学の教育理念に加え、学士力、社会人基礎力、コンピテンシー等、近年の能力観に関わる資料を参考にすること等が考えられる。また、全学の方針を前提にしつつも、作成単位が学位プログラム(もしくはそれに代わる組織単位)であることを考えれば、全ての専門分野のものは揃っていないが、日本学術振興会の分野別参照基準を参考にすることも有効であろう。策定に当たっての留意事項としては、測定・検証に耐えられる内容や表現になっていることが必要である。英語で言えば「Can―Do」型の表現を取り入れるのが良いだろう。その目標の実現のためにどのような教育内容や教育方法を組織的に用いるのかを明記するのがCPである。これら2つの方針の教育を受けるために必要な条件(入学までに身につけておくべきこと、どのような方法で前述のDPやCPに基づく学位プログラム教育を受ける力があるかを確認す図表1 「3つのポリシー」に基づく大学教育改革の実現(イメージ)(案) D A P C 個々の授業科目でも、教員による PDCAサイクルが働くことが重要 認証評価 情報の積極的な発信 内部質保証を重視した評価への 発展・移行 出典:平成28年3月9日開催 中央教育審議会大学分科会大学教育部会(第43回)資料 〈三つのポリシーの策定単位レベルの内部質保証のためのPDCAサイクル〉 三つのポリシーの策定及び運用に関するガイドライン(中央教育審議会大学分科会大学教育部会) 三つのポリシーの一体的な策定による、 選抜、教育、卒業の各段階における目標の具体化 三つのポリシーの策定・公表の義務付け (学校教育法施行規則) 省令改正① 省令改正② 三つのポリシーに基づく大学教育に対する認証評価項目の追加 (学校教育法第百十条第二項に規定する基準を適用するに際して必要な細目を定める省令) 三つのポリシーに基づく、 入学者選抜 体系的で組織的な教育の実施 卒業認定、学位授与 自己点検・評価に基づく 大学教育の改善・改革 三つのポリシーに照らした大学の取組の評価 (  の自己点検・評価) 大学の理念や社会の要請等を踏まえ、 学生が身に付けるべき資質・能力の明確化 DPを踏まえた教育課程編成、 教育内容・方法の明確化 DP、CPの目標・内容を踏まえ、 どのように入学者を受け入れるか、 入学者に求める学力の明確化 ポリシーの策定単位ごとの 教学マネジメントを担う者が主体となり実施 A C P D D CP DP AP PDCAサイクルの起点 参考 参考

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