カレッジマネジメント198号
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41リクルート カレッジマネジメント198 / May - Jun. 2016例えば、自他共に認めるところとして、「ゼミ・卒研の神大」という評価があります。双方向の少人数教育というスタイルを当初から重視し、大切にしてきた経緯があるのです。文系学部では「ゼミナール・演習・専門研究」、理工系学部では「卒業研究・制作」として、一人ひとりが学修の探究と集大成に取り組みます。この学修スタイルができるだけ早く身につくよう、入学早々から学生への働きかけを始めます。それがFYS(ファースト・イヤー・セミナー)です。仲間を知り、大学を知るところから始まり、ノート・テイキングやレポート作成といった大学での学び方を習得し、具体的な問題発見から専門教育への道すじをイメージする。これを半年かけて、少人数セミナー形式で行っていきます。本学のFYSは2006年度に開始しており、全国の大学に初年次教育が広がる先駆けともいえる時期でした。同様にキャリア支援についても、最も早く取り組み始めた大学のひとつと認識しており、本学全体で課外授業として開始したのは2000年。「超氷河期」と言われ、就職テクニックのみでは内定の獲得が困難だった当時、個人のキャリアをいかにかたちづくるべきだろうかという真に学生の人生に寄り添う視点で始められた支援メニューでした。2006年からは「キャリア形成科目」という授業として全学で導入されるに至りました。このほかボランティアやインターンシップの推奨など、学生の成長支援として本学が取り組んでいることを挙げればきりがありません。正課教育にしろ、正課外教育にしろ、学生主体の活動にしろ、本学の教育活動は、全て学生の成長支援にフォーカスしているということは自信を持って言えます。教養教育をいかにレベルアップさせるか今後も私たちは、本学の使命たる「人づくり」に邁進していく所存です。私はとりわけ、「考える力」を学生に涵養していくことを重視したいと考えています。最先端の知識も技術もあっという間に陳腐化してしまう時代です。生涯役立つスキルがあるとすれば、それは思考力や判断力、想像力といったものでしょう。ならば大学は、それを育まなければなりません。考える力を養うためには、教養教育をいっそう充実させる必要があります。とはいえ、これは一筋縄ではいかないでしょう。私の経験からも、教養教育は専門教育より難しいと言えます。従って、先生方には多大な努力をお願いすることになります。けれども「真の実学」を追い求めてきた本学として、これは避けられない道なのです。様々な価値観の交錯するなか、共生と調和という努力から新たな価値を創造していくべき時代において、「真の実学」とは、人類にいかに貢献するかという命題の解を提示していくことにほかならないからです。加えて本学は、グローバル化にもいっそう注力していく所存です。昨年横浜キャンパスに国際センター棟が竣工しました。今後さらなる国際寮の拡充や、海外協定校・提携校との交流の活発化、外国語教育や日本語教育の充実などを考えています。そして、海に開かれ、世界との接点として発展を遂げた国際都市横浜にも引けをとらないプレゼンスを、一日も早く本学も手に入れたいと切望しています。本学の卒業生は、日本のみならず世界各国で活躍しており、その数は21万人に達しています。それら卒業生たちの力も借りながら、「オール神大」として、大学サバイバルの時代を生き抜いていきたい。それが私たちの願いです。

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