カレッジマネジメント199号
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29リクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016近年、地域課題の解決のための人材を養成する学部の設置が相次いでいる。少子高齢化、過疎化、地域産業の衰退など、地域を取りまく環境は今まで以上に速い速度で変化している。そして、こうした変化は、地域に多くの課題を生み出している。地域コミュニティーの再生、中心市街地の活性化、イノベーションによる新たな雇用の創出といった急務の課題を重層的に捉え、その解決を担う人材の育成を大学が組織として推進していることは非常に心強い取組である。東京圏在住の地方出身学生の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、今後、政府として、特に東京圏への若者の転出が多い地域において地元企業でのインターンシップの実施等を支援する「地方創生インターンシップ事業」を産官学で推進することとしている(図表5)。具体的には、地方創生の交付金等を活用し、産官学の関係機関が一体となり、東京圏の学生等が地元企業でインターンシップを行って企業情報を得られる仕組みを支援したいと考えている。地方創生は国による全国一律の取組ではなく、地域ごとに異なる資源や特性を地方自らが活かし、それぞれ異なる課題に対応することで、人口減少を克服する取組である。大学をはじめとする高等教育機関におかれては、それぞれの地域が抱えている政策課題を的確に把握し、地域に人材や産業が集まって来る流れを構築する取組に果敢に挑戦して頂きたい。地方創生を持続性のある取組として定着させる知的インフラとして、大学をはじめとする高等教育機関の存在がますます重みを増してきている。おわりに7近年、地域課題の解決をテーマにした学部を設置した大学(2016年度設置)・宇都宮大学地域デザイン科学部・福井大学国際地域学部・愛媛大学社会共創学部・佐賀大学芸術地域デザイン学部・宮崎大学地域資源創成学部(2015年度設置)・高知大学地域協働学部(2005年度設置)・山形大学地域教育文化学部(2004年度設置)・鳥取大学地域学部図表5 地方創生インターンシップ事業地方創生インターンシップ課題◯東京一極集中地方から東京への人口流出は大学進学時と就職時に集中。○地方の人材不足地方の企業は若者の人材確保が困難となっている。ワークライフバランスの取れた働き方の実現東京圏・地元の大学○希望学生の確保(○単位認定)地元企業○インターンシップの 場の提供○東京圏在住の地方出身学生の地方還流や地元在住学生の地方定着を促進するため、地方創生の交付金等を 活用し、地元企業でのインターンシップの実施等を支援する取組を産官学で推進する。地域働き方改革会議(※)取組の決定※自治体、経済団体、労働団体、労働局の代表等で構成産官学連携により地域でインターンシップを推進する組織(※)※自治体、経済団体、大学等で構成インターンシップ参加地方就職への動機づけ事業実施地方への人材還流・地方定着の実現地方創生インターンシップ事業地域課題の解決のための人材を養成する学部を設置する大学が増加5地方創生インターンシップの推進6特集:地学地就の教育
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