カレッジマネジメント199号
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31長野の工学部キャンパスにおける地域共同研究センターの設置である。産学連携が謳われ始めた頃である。その後、産学連携に関しては、2002年に上田キャンパスの繊維学部においてインキュベーション施設が設置され、これをモデルとして、長野キャンパス(工学部)、松本キャンパスでもインキュベーション施設が設置された。国立大学の法人化はこうした取り組みを他分野に拡大することになった。産業界だけでなく、地域行政・地域住民との連携が形を明確にし、それまでの学部レベルでの連携が全学レベルになり、2004年に産学官連携推進本部が設置された。これはその後2つの方向で拡大をしている。1つは、信州大学を超えての連携である。2008年には長野県内の19の高等教育機関による信州産学官連携機構となって、県内各地域との連携のメッシュを細かくしていった。もう1つは、信州大学内でのさらなる深化である。文部科学省による国立大学の役割の再考を求める政策のもとで、地方国立大学としては立地する地域をこれまで以上に視野に置くようになる。2013年に地域戦略センターが設置され、これまでの教員個々人の様々な地域連携を全学的に組織化するための部署とし、2014年には産学官連携推進本部を産学官・社会連携推進機構とし、さらに2016年には、それと学術研究推進機構とを統合した学術研究・産学官連携推進機構を設置した。この機構下に、地域共同研究センター・地域戦略センター等、これまでの地域との各種連携組織を包含し、全学体制で地域連携を進めることとしたのである。その頃、日本社会の少子化が地方でより顕著に進むことが明らかにされ、その事実は社会の各方面に大きな衝撃を与え、政府は地方創生を政策課題として掲げるようになった。文部科学省でも、2013年度より始まった、大学が地方自治体との連携のもとに地域課題の解決に取り組む事業の支援(COC)、その発展形態として2015年度より始まった、大学が地方公共団体や企業等と協働して、地域での雇用創出や学卒者の地元定着率の向上を図る事業への支援(COC+)を予算化した。信州大学もこれらの事業に採択されたが、それはこれまでの地域との連携を基盤として、さらにそれを促進するための起爆剤となった。「信州アカデミア」と命名されたCOCの採択事業は、図表2に示すように、大学における知の創出を軸に、地域の各事業体と協力しながら地域課題COC事業と「信州アカデミア」リクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016濱田州博 学長図表2 信州アカデミアの仕組み特集:地学地就の教育

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