カレッジマネジメント199号
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41リクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016(立石慎治 国立教育政策研究所高等教育研究部 研究員)語ってくれた。地域での経験は学びの要素にあふれている。だからこそ、教育する側も、教えるのは最小限にとどめ、まずは学生を地域に出し、経験したことをふり返らせることを重視している。例えば、「インターンシップ」では、事前・事後に面談を最低でも3回ずつ(1回30分程度)、一人一人に行っている。何ができ、何ができなかったか、できなかった理由は何か、次に何をすべきかなどについてふり返らせた後、具体的な行動目標を立てるところまで促している。二つの「演習」科目も、個別ではないが、受講生全員でのふり返りを重視して行っている。考えてみれば、我々も社会において経験する様々なできごとをすべて予習できるわけでも、しているわけでもない。むしろ、予想もしなかった様々なことを経験し、可能ならば次に生かしうる教訓を引き出している。地域に出て「本物に触れる」経験そのものが価値を持つが、このような「本物との向き合い方」を学ぶこともまた重要なことだ。結果として、「学生が失敗して御迷惑をおかけすることもあるが、同じような失敗はしなくなっていく」(神田学部長)というのは、まさしくこのふり返りのプロセスが効いているからであろう。そして、地域に学んだ成果は大学を出てからさらに花開くと言ったら、過言であろうか。成長した学生のエピソードを尋ねた際に語られた、在学時に様々なことにチャレンジした学生の話を紹介したい。起業を目標に入学してきたその大学院生は、卒業後に就活サイトを立ち上げ、目標を達成した。そのサイトは、庄内の企業を紹介し、「働いている人の顔が見える」就活サイトであったという。庄内の人と人をつなぐサイトを作った後も、在学時に得た人脈等を生かして、現在は他の事業にも進出し、活躍につなげている。この卒業生の姿は、地域社会に、そしてそこに住まう人たちに資することを学ぶ機会に恵まれた公益大生だから行き着いた一つのかたちではないだろうか。ここ、東北公益文科大学に入学した学生は、庄内は酒田の地“で”学び、学んだ成果を自身の地“に”持ち帰っていく。学生の就職先も、ほぼ入学者の出身エリア(山形県内外)の庄内で地域を学び、成果を地元に持ち帰る割合と同じように分布しており、地域に学び、地域に就職する状況である。酒田で学んだことを、自身の地域へ持ち帰りたい、という学生は多くなってきている。きっと、東北公益文科大学で「地域を学ぶ」ことを期待してやってくる学生は今後もいるだろう。だからこそ、今後を展望する手がかりはこれまでの積み重ねのなかに見出したい。吉村学長は、学生の目の色が変わるのは「社会の役に立つ、地域の役に立つ課題に取り組んだとき」と語る。「インターンシップ」や「プロジェクト型応用演習」はまさしくその機会となっている。「インターンシップ」は約5割の学生が履修しているほか、「プロジェクト型応用演習」は年間で例年20テーマ前後が開講され、約200名の学生が履修している。現在、これまで培ってきたメンタリングのノウハウが新しく関わる教員にも共有されるよう、教員体制の充実化を図っている。これまでを踏まえた次なる一歩は既に踏み出されている。歴史にもしもはないが、もし地(知)の拠点整備事業といった補助金の後押しがなかったとしても、東北公益文科大学では地域と向き合うことを大切にし、その点から考え抜いた教育が行われたことと思わずにはいられない。最後に、冒頭で述べた入学生数の回復や外部資金の獲得が成立する背景について触れて終わりたい。吉村学長は「教育、研究、社会貢献、そして国際交流をしっかりやり、外部発信すれば、魅力は伝わる」と力強く語ってくれた。庄内の地に在る大学として、それも日本で唯一の公益学を扱う大学として、この地でできることは何か、すべきことは何かを突き詰めていき、必要な手を打つ。そのような打ち手は、自然とその大学に備わる魅力を増すものになるだろう。結果として、高校生の目にも魅力的に映るし、充実した取り組みを後押ししようと外部資金もついてくる。その大学が持つ真の強みに専心することこそが、王道なのである。そして、王道に近道はない。これまで積み重ねてきた一歩一歩があるからこそ、次の一歩が踏み出せることを忘れてはいけないだろう。公益学を学べる大学としては、今まで培ってきた地域との関わりを生かし、突き詰めることにほかならなかったということだ。あなたの大学にとっては、突き詰めるべきそれとは何なのであろうか。特集:地学地就の教育

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