カレッジマネジメント199号
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43リクルート カレッジマネジメント199 / Jul. - Aug. 2016心の高い日本人学生が、留学経験者から語学サポートやアドバイスを受けられるほか、外国人留学生と交流するイベント等を開催しています。二つ目の特徴は、キャリアデザインサポートシステムです。キャリアデザイン科目を1~3年次まで用意し、1年次は全員履修することとしています。今の若者は社会と離れているので、大学の授業が社会とどうつながっているか、働くとはどういうことかを科目として教えています。資格講座や就職活動サポートも行っていますが、特徴的なのは、就活サポーター制度です。就職先の決まっている4年生が、これから活動する3年生の相談役になるもので、ボランティアで参加してくれている4年生も合わせると、毎日数名がキャリアセンターに常駐してくれています。ここ数年、学生個々の面倒をいかに見ていくかに注力し、キャリアデザイン科目を教える教員、キャリアセンターの職員、先輩就活サポーターによる、教職学三位一体がうまくいっています。その結果、内定率は県内有数の高さで、2016年3月の就職希望者数941人に対する就職決定者数の割合は99.0%でした。三つ目は地域貢献です。全学が瀬戸キャンパスに在った頃から、研究テーマとして地域に取り組んできた歴史があります。瀬戸といえば瀬戸物です。陶磁器産業の歴史やルーツといった陶磁器産業論の研究を地元の方々と協働して行うなど、大学そのものが地域と共生することに熱心でした。2007年に名古屋市に移転するときも同様で、地域連携センターを設置し、地域と手を携えて活動してきました。それが形になるのが2013年の文部科学省「地(知)の拠点整備事業(COC)」採択です。本学のCOC事業では、PBL(Project Based Learning)を用いながら「地域商業」「歴史観光」「減災福祉」の3つのまちづくりに取り組んでいます。代表的なところでは、地域の歴史的観光物や名産物を、オリジナルのアニメキャラクターに作り上げる過程を撮影し、それを動画投稿サイト「ニコニコ生放送」で数回にわたり番組を配信しました。例えばひつまぶしで有名な「蓬莱軒」という老舗の魅力を伝えようと、「莱あかざまひつ」と名づけたキャラクターを学生が描き、シナリオを起こし、声優の方に吹き替えをお願いして、番組を放送しました。1回の生放送に8000~9000件のツイートが寄せられる等、大きな反響を得ました。PBLでは学生の気づきのチャンスも多いため自身の成長を感じます。この体験を、ただ「楽しかった」で終わらないように、成果報告会を開いており、体系的な座学を加えてPDCAサイクルを回しています。グローバル教育拠点を開設これまでの国際性と地域貢献の両輪をさらに進めていきます。本学の場合、海外で仕事をするというよりは、中部圏に就職したいと思っている学生が多いのですが、今はどんな会社に就職しても、外国からのインボイスやレターを読む等、海外と関わらざるを得ません。そういう意味では、本学を卒業した学生の多くはローカルに働いているかもしれませんが、常に国際性に対して違和感や距離をおかず肌感覚で付き合える、グローカルな人材に育てたいと思っています。その一つとして、2年後に名古屋キャンパスの近くに約1万㎡の敷地全体を使ったグローバル教育拠点を開設したいと計画しています。フロア面積でいうと、グローバル教育ゾーンとしては日本で有数の広さになると思います。コンセプトではグローバル・スクエア(仮称)という名称で、ネイティブ教員や留学生別科の外国人が滞留するゾーンや、英語または英語以外の外国語しか使わないゾーンを設ける等、24時間、色々な言語に触れているような国内留学スペースを想定しています。将来的には、外国人学生と日本人学生が入居する国際寮も作る予定です。グローバル・スクエアもCOCもそうですが、大学は色々なメニューを提供するだけでなく、学生を実際の現場に連れてきて、学生が肌で感じて気づきを得る機会を持たせないといけません。今はそういう時代になったと感じています。
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