カレッジマネジメント200号
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63リクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016(両角 亜希子 東京大学大学院教育学研究科准教授)渡してつなげる努力をするようになった」という。学長自身も「対話のある大学運営」を大事にしてきたと強調する。龍谷大学では、学部長理事制で、学部長は学部の長であると同時に、執行部の一員である。学部長が学部の意見を聞いてきて、学部長会で報告してもらうが、厳しい意見が出た場合には、どうしたらよいかを全体で考える。急いで1つの議案を決定せず、一方的に決めない。時間のゆとりを持って議論し、調整するうちに、「意見はあるが、大学の意思なら協力する」というようになっていく。学部構成員からすると「意見を聞いてもらっている」、少なくとも「無視されていない」という意識を持つのは大事だという。そういう意味では時間をかけて議論をしているし、5長の学内共有を進めるための「コンセプトブック」の作成等の工夫も行っている。それでも学内の理解を得るのは至難の業だという。教育力、教育水準の高度化に向けて第1期の55のアクションプランの進捗度について厳しく評価し、第2期中期計画の課題(例えば、龍谷スタンダードの形成、既存学部の改革、グローバル化の推進等)をまとめているが、学長にも今後の課題を尋ねてみた。教育力、教育水準の高度化が最も重要で、「勉強したくなる環境が龍大に入ると待っている、そうした環境を作り出したい。勉強熱心な学生の割合をいかに上げられるか、そうしたことを着実にやっていかないと、少子化が一層進む、ポスト5長の展望が見いだせない」と話す。教育の成果の可視化は難しいが、卒業して5年後くらいの卒業生に、龍谷大学で学んだことがどのように実質化しているのか、調査する必要があるという。第1期では多くの成果を挙げた一方で、部局をまたがった事業推進や改革に課題を残したが、そうした課題への対策も始めた(図表3)。例えば、入試判定は各部局の教務課の判断だけでやってきたが、実際は複数の学部を併願する受験生も多く、合格ラインをどこに設定するのかもそれぞれの学部が持つデータを共有して、全学的な観点で調整し、判断したほうが良い。そこで、昨年からは入試部、教務課、学部長が連携して、全学の検討会議で決定するように変更した。奨学金、生涯学生支援等、様々な分野でこうした組織連携を学長が呼び掛けると同時に、担当理事が、全学の会議体に参画したり、個々の部局と個別調整したりすることで部局横断的な事業推進を目指している。4年前の取材で、「農学部、国際学部の設置でキャンパス内の相乗効果を高めていきたい」と話しておられたのが印象的で、そのアイデアについて尋ねたところ、大学院改革と絡んだ構想を語ってくれた。既存の大学院は煙突型、いわば細分化の方向性が強いが、グローバルスタディーズ学科単独の大学院を作るというよりも政策、経済、経営等広い分野に横断的な大学院を作ることで、相互連携を強めたいという。国立大学重点化の影響で、この10年ほどは多くの私立大学は大学院の定員確保に苦戦しているが、「大学院の力が弱くなると、学部も弱くなる」と学長は言う。大学院生の研究スタイルを日常的に見て、一緒に研究会・学習会等をする機会は学部生にとっても未知な領域への探究心を持つのに重要で、大学院もさらに充実させていきたいという。今後の学生数については「2万人を少し超えるような規模が妥当。教育研究環境の質を維持し高度化していくためにも、財政的な担保として一定規模が必要になる」とのこと。さらなる教学再編について学内で検討中だそうだが、変わり始めた龍谷大学の今後にますます注目したい。キャリア形成(めざす姿)学ぶ意欲講義経験学習インターンシップ奨学金サークル活動ボランティア活動教授会教務会議キャリア主任会議奨学委員会課外活動委員会ボランティアセンター会議目的意識自立心正課活動課外活動〈育む力=「龍谷スタンダード」〉〈正課と課外、部局間を架橋した部局横断型事業検討タスク〉「第1期中期計画」の諸事業に取り組んだ結果、部局間をまたがった事業推進や改革に課題を残した教学部/教学企画部学部教務課ボランティア・NPO活動センターキャリアセンター学生部事業の到達目標:「自立的な学生支援スキーム」の構築(正課と課外を架橋した取り組み)チームワーク内省・感謝の心20162016特集 進学ブランド力調査図表3 部局横断型事業の検討イメージ
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