カレッジマネジメント200号
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7リクルート カレッジマネジメント200 / Sep. - Oct. 2016司会 確かにリーダーシップは非常に重要な課題ですが、トップダウン型のリーダーシップ以外に、皆を支えて働きやすくするサーバント型リーダーシップという言葉もあります。組織のあり方によってガバナンスのあり方も違うということですね。近藤 おっしゃるように大学改革は「用意ドン」で一気に進むわけではありません。意識を変えることが大事だと言われますが、実際は難しい。そのためには成功事例とその成果を経験していくことが重要だと思います。時間はかかりますが、新たなガバナンスによってどういうことが変わるのか、目に見える形にしていくことで、知らず知らずのうちに時間軸で変わっていくようなストーリーを描くことが重要だろうと思います。例えば本学では基盤教育センターや地域創生学群という教育組織を作りましたが、その成功事例や成果を全学的に広めていこうというスタンスでやっています。 リーダーシップに関しては、前学長がトップダウンとミドルアップという言い方をしました。ミドルアップとは、大学改革に意欲ある若い教員を、学長指名で副学長や全学的な組織の長に就任させるということです。ガバナンスで大事なことは、学長と同じ方向を向いている副学長や学長補佐を周囲に配置し、学長が最終的に責任をとる体制を作ることです。また、本学では、リスクマネジメントの観点から、法学部の法律を専門とする教授を副学長に選びました。更に、グローバル化を推進することで生じるリスクマネジメントのために、学長付きの特任教授として、国際間の協定を精査する専門家を置いています。学長を支援する補佐体制を作ることによって、学長ガバナンスは機能するだろうと思います。外部競争資金の獲得司会 法政大学も成功事例として先ほど国際文化学部の例が紹介されました。田中 その後も様々な変化が起きています。スーパーグローバル大学創成支援(以下SGU)に採択されて以降、英語で履修して卒業可能なコースが次々とできています。SGUのような外からのインパクトが今はたくさんありますが、教職員は忙殺されることにもなり、バランスをとるのは大変です。しかし、それによって大学が変わるという希望もあります。変化の契機をいかに掴んで、教職員自身の成長につなげていくかは非常に大事です。現状維持ではなく、変化し続けることを新しい大学の価値にしていく取り組みが重要だと思います。ただそれにはお金がかかりますし、財政的問題は大きな課題でもあります。司会 金沢大学ではSGUも獲られ、地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(以下COC+)、大学教育再生加速プログラム(以下AP)も獲られています。全国で見てもこの3つを全て獲っているのは珍しい。何故これだけ競争資金に採択されるのでしょうか。山崎 確かに意識して獲るように注力しています。金沢大学はURA(ユニバーシティー・リサーチ・アドミニストレーター)制度をいち早く導入し、積極的に研究支援・研究マネジメント人材の育成を進めています。大学として外部の競争的資金獲得の申請をする時に、そうした人材が下支えをしています。彼らの下には本学のあらゆる情報を集めていますし、他の大学の動きや外国の状況も調査してもらっています。それによって新しい方向性を打ち出し、結果として外部資金の獲得につながっています。司会 皆さんも外部資金というのは意識されていますか。近藤 はい。法人化以降、本学では6年間の中期計画の中で外部資金の数値目標を設定する等、「選ばれる大学になる」ことを掲げています。受験生から選ばれ、また、外部資学長と同じ方向を向いている副学長や学長補佐を周囲に配置し、学長が最終的に責任をとる体制を作ることで、学長ガバナンスは機能する。(近藤)

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