カレッジマネジメント201号
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34リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016教育内容と方法、評価が明示されていることである。これらは各学位プログラム(各学科)がDPに掲げた目標を達成するために、どのような教育内容や教育方法を組織的に実施するのかを明記するのがCPであるという認識に基づいている。そのために、カリキュラムの体系を示し、科目間の関連や内容の難易度を表現するナンバリングを行い、カリキュラムの構造を分かりやすく提示している。アクティブ・ラーニングやポートフォリオの作成等は教育方法としてどのように使用され、何のために使われているのかも明示されている。評価は、DPを達成するために不可欠な装置として位置付けられ、CPの中でもその仕組みが構築されているが、詳細についてはアセスメントポリシーとして紹介したい。アドミッションポリシーにおいても、各学位プログラムが求める具体的な要件、例えば、教育福祉学科では基礎的英語力(英検3級程度)を身につけていることが明示されているなど学科による差異はあるものの、全学の教育目標とKUIS学修ベンチマークに沿った形で、各学位プログラムに入学し、教育を受ける力があるかを確認するための要件が明示されているのがAPとなる。3ポリシーをチェックするためのアセスメントポリシーさて、関西国際大学の3つのポリシーを可視化するうえで、鍵となるものが、アセスメントポリシーの存在である。3つのポリシーは、PDCAサイクルに当てはめるとPlanに相当し、Doは3つのポリシーを具現化した教育活動である授業、入試、入学前教育などの高大接続が当てはまる。このPlanにもとづき教育活動が実施され、学修成果が上がっているかを確認することがチェックであり、その基本方針がアセスメントポリシーと位置付けられている。全てのポリシーをチェックするシステムそのものがアセスメントポリシーであるとも言い換えられるだろう。関西国際大学では、(1)大学及び学部・学科を対象とするプログラム評価、(2)サブジェクトレベルでの授業科目を対象とする評価、(3)学生個人を対象とする評価という3層構造でアセスメントの基本方針が示され、それぞれの評価方法が設計されている(図表3)。その際、検証・測定に必要な「観点・基準」と「尺度」のバランス、定量化しやすい評価である国家試験合格率、標準化テストスコアと定量化しにくいパフォーマンス評価であるルーブリックを活用した学修成果の評価や行動評価、eポートフォリオ等が学位プログラム、サブジェクトレベルでの授業科目の検証をするために配置されているかがアセスメントポリシーに則ってチェックされる次第である。実際に、2年次終了時に、専門分野の基礎知識の到達度を確認するために、専門必修科目に関する内容について到達確認試験を行い、4年次には、卒業研究(論文)についてルーブリックを用いて複数教員が評価する2段階でのアセスメントが実施されている。しかし、こうしたアセスメントはかならずしも学生個人を対象として評価しているのではなく、学位プログラムがDPおよびCPに沿って機能しているかどうかをチェックするプログラム評価であると濱名学長は力説していた。学生個人を対象とする評価としては、9月末と3月末の年2回行われるリフレクション・デイがある。ここでは、成績表や前学期に受講した科目のレポートやテストの採点結果を学生に返却することで、前学期を振り返るだけでなく、学生が自ら立てた目標をチェックし、今学期の目標と計画の策定を行うことが意図されている。リフレクション・デイでの活動を通じて、学生が授業で目標を立て、それを自覚させることが目的と言い換えてもよいだろう。学生目線で4年間を設計する重要性を再認識3ポリシー作成後、どのように学内や学部で共有や具体化を図っているのかという質問に対しては、学長はFDとSDを個々に、もしくはFDとSDを合同に行うことによって学内で3ポリシーを共有し、浸透を図っていると答えた。今年度からはSDが義務化されたが、教職員が共に大学の基本方針を理解し、共有することが教職協同の基本原理でもある。その意味では、関西国際大学では教員を対象としたFDに加えて主に職員を対象としたSDそして、FDとSDを合同で開催することが3ポリシーの浸透に役立っていると思われる。3ポリシーを見直しすることを通じて気づいたことについての質問に対して、学長は学生目線で4年間を設計する
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