カレッジマネジメント201号
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35リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016(山田礼子 同志社大学教授)ことの重要性を指摘した。学科を基盤とした学位プログラムは、日本的なEarly Specialization (早期専門履修化)のための仕組みであるが、これを学生目線から126単位1パッケージのシステムという見方で見るとすれば、学生が選択できる様々な学習ルートが存在するはずである。その様々な学習ルートからKUIS学修ベンチマークへ到達することが絶対条件であるが、学生自身にそのルートからKUIS学修ベンチマークの達成の意味を認識すること、そして学位プログラムの基本単位である学科の教員がオーナーシップを持って、学生へのLearning Route Mapを作成することを早急に進めていくことが大事であると認識したという。このLearning Route Mapの作成は関西国際大学の今後の展開の方向性や課題に対しての取り組みにも大いに関係している。教育単位の中での“つながり”をどう実現していくかが重要な課題であるとの認識のもとで、学内での“つながり”をいかに様々な学外での活動につなげていくかを教職員全体で取り組むことが次の段階であるとの印象を受けた。具体的には、高校から大学へのつながり、大学から企業、社会、地域へのつながり等である。米国には、正課課程のカリキュラムとコカリキュラム、エクストラカリキュラムをつなげるという実践が行われている高等教育機関も見られるが、こうした概念に近い学内外のつながりをどう3ポリシーに照らし合わせながらすすめていくかということになる。そのためには、科目の精査を常時行いつつ、新しい3ポリシーが各学位プログラムの中で機能しているかをフォローアップしながら、PDCAを回し、改善を行うということになるとのことであった。重要なのは大学の教育目標に則った整合性あるポリシー関西国際大学は、3ポリシーの義務化に伴い、全学のポリシーを見直し、KUIS学修ベンチマークを参照しながら、学位プログラムを明確にしてきた。以前から大学としてコンピテンシーを重視する大学であることを公言していたが、その姿勢、方向性がKUIS学修ベンチマークには反映されている。こうした明確な大学の目標があるという基盤の上に、新たな3ポリシーが一体的にかつ整合性を持って策定されていることが当該大学の強みともいえよう。大学によっては、コンピテンシーではなく、専門知識の習得と活用を重視する大学もあるかもしれない。800近い高等教育機関があれば、各高等教育機関の目標も多様である。また、濱名学長のように、高等教育政策や世界での動向に関心と造詣の深い学長や執行部ばかりではないかもしれない。しかし、重要なことは、各大学の教育目標に則って、整合性のある3ポリシーを策定していくことが基本的なステップであることを認識することである。そして、教育を提供する側としての大学・教員は、3ポリシーのもとで、実現と測定・分析つまり検証ができるかどうかを意識しながら、教育を提供していくことが肝要である。もちろん、教育の受け手である学生自身が、3ポリシーが明示されているなかで、教育を通じていかに成長を実感し、社会に対して具体的に説明できるようになるかが、大学全体に求められている課題である。それを意識しながら3ポリシーを具現化していくことが次のステップであるといえるだろう。図表3 評価(アセスメント)の三層構造大学レベル学生個人レベル学部・学科レベル(学位プログラムレベル)・ 3年終了時GPA1.5 以上のクリア・ リフレクション・デイで配付される成績表等・ シラバス記載の方法 (テスト、ルーブリック等)・ 学科別達成割合の集計・ 2年終了時の全員合格・ 試験結果集計(学科別)・ 学科全体の成績分布確認・ 学生個人の自己評価とアドバイザー面談による調整・ 大学全体の達成度(チェックデータの集計)・ 試験結果集計(全学)・ サンプリングによるルーブリック評価・ 卒業要件となる126単位以上の修得・ 60点以上での合格・ 複数教員による成績評価・シラバス記載(テスト、ルーブリック等)上の修得総括テスト及びレポートなどによる各科目の成績評価・学科全体の成績分リック評価卒業研究の成果学科別達成割合の集計学生個自タの集計)KUIS学修ベンチマーク・2年終了時の全・試験結果集計(学科別)到達確認試験つのポリシーの具現化特集

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