カレッジマネジメント201号
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36愛媛大学は、「学生中心の大学」を大学全体の理念に掲げ、教育改革やFDの先駆的な取り組みで既に全国的に高い評価を得ている大学である。アドミッションポリシー(AP)、カリキュラムポリシー(CP)、ディプロマポリシー(DP)の3つのポリシーの策定にも、先駆的に取り組んできた。教育改革のモデルとされる大学のひとつである愛媛大学が、3つのポリシーをどのように制定し、どのように見直しているのかは、多くの大学にとって、この課題を具体的に考えるための参考となるだろう。本稿では、愛媛大学が、どのようなプロセスと課題意識から3つのポリシーを検討してきたのか、そのポイントをみていきたい。教育コーディネーター制度と教育・学生支援機構愛媛大学の教育改革は、「教育コーディネーター制度」と「教育・学生支援機構」の2つの特徴的な制度によって推進されてきた。3つのポリシーの策定と見直しも、この仕組みが中心となって進められている。まずは愛媛大学の教育改革を推進してきたこれらの仕組みを確認しておこう。2006年から実施されている「教育コーディネーター制度」は、各学部・学科等の教育方針の立案、カリキュラム編成、教育内容の改善等の活動に中核的な役割を担う教育重点型教員を、学部長の推薦をもとに学長が、教育コーディネーターとして指名する仕組みである。学科・教育コース等カリキュラム単位に最低1名は配置され、各カリキュラムの教育改革に中心的役割を果たす。現在、全学で65名程度が指名されている。さらに、各学部の教育コーディネーターのうち、副学部長クラスの教員が、全学の教育改革方針と学部運営をつなぐ役割を担う統括教育コーディネーターに指名される。教育コーディネーターの標準任期は4年とされ、従来の教務委員会から教育コーディネーター制度に代えることで、教育重視の姿勢が実質化された。この教育コーディネーターには、教育改革の全学的方向性を共有することを目的とした「教育コーディネーター研修会」が毎年4〜5回行われている。この研修会を通じて全学の教育改革・改善が各学部・学科の具体的な教育実践とつながり、個々のカリキュラム単位、授業単位の取り組みに実質化されるのである。この研修会には毎年度テーマが設定されている。2007年度に「学士課程の体系化〜DP・CP・APの策定と一貫性構築〜」として3つのポリシーをテーマとして行い、この研修会を通じて2007年度に各学部・学科の3つのポリシーが設定された。この教育コーディネーター制度、教育コーディネーター研修会を企画運営する組織が、教育・学生支援機構である。教育・学生支援機構は、「愛媛大学の教育理念と目標に沿い、教育の充実及び学生の修学支援等の強化を図り、これらに伴う諸課題に対処し、迅速で効率的な意思決定を行うことを目的」に設置されている全学的教育改革の推進組織である。学長・役員会の直下に位置づけられており、教育担当理事が機構長を務める。同機構は、共通教育センターやアドミッションセンター等5つのセンターと教育企画室とでリクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016全学の教育改革推進の核となる3ポリシーの見直し大橋裕一 学長愛媛大学C A S E2

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