カレッジマネジメント201号
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39リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016(白川優治 千葉大学准教授)2014年に中央教育審議会から高大接続答申が出され、「学力の3要素」に基づく新しい入試改革の方向性が提言された時、「愛媛大のAPがこの学力の3要素を含んでいるかがとても気になった」と弓削教育担当理事は話す。そして、高大接続改革に対応するために、2015年度の教育コーディネーター研修会では、「学力の3要素とAPの実質化」をテーマとし、各学部のAPとDPが学力の3要素を満たしているかどうか確認を進めた。具体的には、APで設定していた「(1)知識・理解、(2)思考・判断、(3)興味・関心・意欲、(4)態度、(5)技能・表現」の5つの領域と、「(1)知識・技能、(2)思考力・判断力・表現力、(3)主体性・多様性・協働性」からなる学力の3要素がどのように対応しているか、各学部・学科のAPごとに確認した。さらに、2016年度には、「愛媛大学における入試改革」を教育コーディネーター研修会のテーマとし、高大接続改革で求められている「他面的・総合的な評価」による2020年からの新入試にどのように対応するかを議論している。具体的には、現在の入試において学力の3要素の「(3)主体性・多様性・協働性」をどのような方法で評価し、どの程度の配点が割り振られているか等、「学力の3要素」が各学部の入試の中にどのような配点構造で組み込まれているのかを検証しつつ、愛媛大学を基幹校に2013年に四国の5つの国立大学により設置された四国地区国立大学連合アドミッションセンターが行っている高大接続答申の分析も参考にしながら、今後の入試改革に向けてどのような改革を行うかを検討しているという。そのことはAPの見直しにつながっており、そして、APの見直しに連動して、DP、CPの内容の見直しが行われている。3つのポリシーの見直しのもう一つの背景は、大学憲章の改訂にあわせた、大学全体の各種目標・方針の階層性の整理である。愛媛大学では、2015年度に国立大学の第2期中期計画期間が終了することにあわせて、この間の国立大学政策、COC事業・COC+の採択、その他、様々な動向も踏まえて、第3期中期計画の開始に合わせて、大学憲章の見直しを行った。大学憲章の見直しは、その下位に位置づく方針の見直しにつながる。今回の「ガイドライン」を用いた見直しの要請は、愛媛大学にとって、大学憲章、愛大学生コンピテンシー、全学のDP、学部のDPの関係を整理するタイミングと重なったのである。愛大学生コンピテンシーとDPの関係について、「DPは学位授与の方針として全ての学生に保証するものである。一方、愛大学生コンピテンシーはより広く設定しているので自由度が高く、学生によって習得状況にでこぼこがあってもよいと考えている」と小林学長特別補佐は話す。つまり、大学が学生に習得を保証する内容は何か、学生は愛媛大学で何を身につけることができるかを、大学全体として、学部・学科として、再度、整理しているのである。現在取り組んでいる3つのポリシーの見直しでは、これまで作成してきた到達目標やポリシーの階層性を整理し、より分かりやすいチャートに作り直すとともに、学生や進学希望者(高校生)に対し、愛媛大学の教育をより分かりやすく伝えることにつながるように改訂を進めているという(図表2)。全学の教育改革の一環としての3ポリシーの見直し愛媛大学は過去10年間、大学教育改革の先駆的取り組みを積み重ねてきた。現在進められている3つのポリシーの見直しは、高大接続改革という新しい政策への対応を含め、各学部・学科の3つのポリシーの策定後に生じた学内外の環境変化に対応して、これまでの取り組み全体を、体系的に再整理する意味を持っているといえるだろう。教育・学生支援機構と教育コーディネーター制度という、全学の教育改革の推進組織のもとで、高大接続改革3つのポリシーの実質化や見直しが進められる中で、これまでの改革や各種目標の関係が分かりやすく再整理されようとしているのである。様々な改革が行われ、大学の理念・目的、建学の精神やコンピテンシー、学部・学科の到達目標等様々な目標が設定されていることは各大学で共通するのではないだろうか。また、これから進められる入試改革に対応していくことも各大学に共通した課題だろう。教育改革に先駆的に取り組んできた愛媛大学が、3つのポリシーの見直しを起点に、全体的な位置づけを見直し、これらの課題に対応している様子は、多くの大学にとって、3つのポリシーの策定や見直し作業で重点を置くべきポイントを考える具体的なヒントになるだろう。つのポリシーの具現化特集

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