カレッジマネジメント201号
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52リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016確になる。他大の動向に揃えることよりも高校の声に配慮するスタンス」だという。入試を含めた募集プロセスをWeb上で完結させる(東洋大学)東洋大学は2017年度より、新設する情報連携学部と国際学部の2学部を対象に、「Web体験授業型入試」を導入する。事前課題をWebで視聴し、レポート提出、プレゼンや質疑応答、面接までを、全てWeb上で受験することができる(大学での受験も可)。単にWebというツールを活用するだけではなく、評価方法も学力の3要素を多面的・総合的に測る内容となっている。設計上主軸となるのはTOYO Web Styleという入試情報サイトだ(図表2)。入試に関わる情報全てが集約されており、その中で各学部学科の20分前後の模擬講義を視聴することができる。2016年8月現在144もの講義が網羅されているが、特筆すべきはそのクオリティーの高さだ。単に正面からの撮影だけではなく、複数アングルを多用し、テーマも高校生に身近なものを厳選し、受講生のリアクション等も丁寧に構成されている。ベースになったのは、以前から取り組んできた高校1・2年生向けの「学びLIVE」というイベントだ。終日大学の授業を無料で受けられるもので、年2回開催されている。「学びLIVEからの出願率は高く、早期から志願者を獲得するためのベースとなっています」と加藤建二入試部長は語る。「大学のコアである教授陣の授業による高大接続です。入学前に教授のファンになってもらいたい」。それがアーカイブとして結実したのがTOYO Web Styleというわけだ。Web入試の構想はサイト設計段階からあったが、実現したのは地方の高校訪問での声があったからである。入学者の2割が関東以外の地方出身という東洋大学では、都市部と地方の経済格差・情報格差を是正しなければとの思いがある。それは入学後の奨学金等経済措置だけではない。「オープンキャンパスに来る交通費も数万円単位、入試で宿泊もすればそれ以上。入学以前ですら、親御さんに掛かる負担は決して軽くない。それを理由に進路を諦めてしまう学生さんもいます」。東洋大学には13学部46学科の学びがあり、幅広い進路に応えられる自負があるが、そこまで行き着かない学生が多いのもまた事実なのだ。意志はあるが経済的理由で進学できない学生の負担を少しでも減らすために、Webは非常に有効なツールというわけである。前例のないチャレンジのため成果は予測できないが、こうしたシステムを活用し、海外からの留学生獲得等も実践し始めているという。建学の精神に立ち返る(東京女子大学)同様に地方学生の獲得が起点でも、採った方法が異なる大学もある。東京女子大学が開始するのは「知のかけ図表2 TOYO Web Style画面
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