カレッジマネジメント201号
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6リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016まず最初に、大学進学者の進学先希望分野の変遷を見る。全体として2011年調査より連続で増加している分野は、「工学(建築・土木)」(2011年4.4%→2016年5.4%、以下同)、「薬学」(6.7%→7.3%)、「生物・農・獣医・林産・水産」(8.8→9.5%)となっており、すべて理系の分野である。一方、2回連続で減少している分野は、「経済・経営・商」(27.1%→24.5%)、「社会」(13.7%→10.7%)、「文化・地理・歴史」(12.6%→11.7%)」等で、社会科学系を中心に減少している。また、大都市圏と大都市圏以外で差があった分野では、大都市圏では「経済・経営・商」(大都市圏26.1%・大都市圏以外22.6%、以下同)、「社会」(12.2%・9.0%)、「観光・コミュニケーション・メディア」(9.5%・8.0%)等いわゆる人文・社会科学系の人気が高い。一方大都市圏以外では、「医療・保健・衛生」(8.4%・11.5%)、「教育・保育(15.6%・18.5%)」等が大都市圏より高く、資格志向が強い傾向がある。〈文系男子〉は図表1の通り、「経済・経営・商」が5割以上、2位の「法律・政治」が3割強と、ほかに比べて上位2分野に人気が集中していることが特徴だ。上位10位のうち、2回連続増加したのは「国際関係・国際文化」のみだ。〈文系女子〉のトップは「国際関係・国際文化」(28.2%)。2回連続増加している分野はないが、上位10位のうち、「教育・保育」「法律・政治」に関しては前回より上昇。後者は女子を対象とした法律系の学部の新設が増えており、その影響もあるだろう。女性の社会進出に伴う新しい女子の役割が、希望分野に反映されているといえる。〈理系男子〉では、3割強が「工学(電気・電子・情報)」でトップ。2回連続増加したのは「工学(建築・土木)」のみとなっている。震災復興やオリンピック開催決定で、社会的ニーズが高まっている影響もあるだろう。〈理系女子〉では、「看護」が3割弱でトップ。前回より4ポイントほど上昇している。こちらも上位10位で2回連続増加しているのは「経済・経営・商」のみだが、前回と比較すると、「生物・農・獣医・林産・水産」が増加。食の安全やバイオ等、生物系のすそ野が拡大し、女子の農学人気も高まっている。前回調査では、不況を反映して手に職・資格系分野の人気が顕著であったが、今回はそれに加えて、社会情勢や今後のマーケットニーズ等が人気に反映された結果となった。たとえ高校生になじみのない分野や業界でも、現在の状況や視点のみではなく、将来性を伝えていくことでマーケットを広げられる可能性がありそうだ。調査報告 進学センサス2016大学は、高校生に伝わる形で教育内容を発信することが必要進学希望分野人気トップは文系:男子は経済系、女子は国際系理系:男子は工学、女子は看護
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