カレッジマネジメント201号
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64リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016世界経済における日本経済のプレゼンスの低下が、教育研究の競争力の低下をもたらすことがないよう、十分な対策を講じる必要がある。低迷する雇用者報酬と高まる非正規雇用割合雇用者報酬も、名目GDPと同様に低迷を続けている。2015年度は2010年度に比べて持ち直したものの、1995年度の270兆円を下回る257兆円に止まっている。その原因としては、国内景気の低迷や国際競争の激化を受けて、給与水準の抑制が続いたこと、非正規雇用の割合が高まってきたことなどが考えられる。1995年に20.9%だった非正規雇用の割合は2015年には37.5%まで上昇している。非正規雇用増加の背景には、製造業に比べて生産性が低いとされるサービス産業のウェートが高まっていること、年金受給年齢の引き上げ等に伴い、非正規として雇用される60歳以上の就業者が増加していることなどが挙げられる。前者について、例えば、宿泊業・飲食サービス業の正規雇用比率は26.7%に過ぎず、卸売業・小売業も50%にとどまっている。(総務省統計局「平成24年就業構造基本調査」より)また、職業別就業者数の推移を見ると、管理的職業従事者が減少する一方で、専門的・技術的職業従事者が増加する傾向が読み取れる。その他の職業について、2009年の職業分類改定以降の変化を見ると、ほぼ横這いが事務従事者、減少傾向にあるのが販売従事者、生産工程従事者、増加傾向にあるのがサービス業従事者、運搬・清掃・包装等従事者などである。このような職業構成の変化からも、雇用者報酬が低迷する構造的要因が見えてくる。労働によって生み出される付加価値を如何に高めるか、つまり労働生産性の向上が極めて重要な課題であることがわかる。上昇が続く相対的貧困率と子どもの貧困率同じ20年の間に国民生活はどのように変化したのだろうか。厚生労働省「平成27年国民生活基礎調査」によると、全国の世帯数は1995年の4,077万から2015年の5,036万へと959万世帯増加している。その多くは単独世帯と夫婦のみ世帯の増加によるものだが、「ひとり親と未婚の子のみの世帯」も211万から362万に増加している。「平成25年国民生活基礎調査」では、2012年時点での「相対的貧困率」(貧困線に満たない世帯の割合)を16.1%、「子どもの貧困率」(17歳以下)を16.3%と算出している。また、子どもがいる現役世帯のうち、大人がひとりの世帯員の貧困率は54.6%に達している。相対的貧困率と子どもの貧困率は、1990年代半ば以降、緩やかながら上昇を続けており、国際的に見てもOECD平均を上回っている。また、社会における所得分配の不平等さを測る指標であるジニ係数においても、日本は所得再分配前、所得再分配後のいずれもOECD平均をやや上回る水準にある。(厚生労働省「平成24年版厚生労働白書」より)相互に価値を享受できるグローバル化に向けて人口減少が進む中、日本企業は新たな成長機会を求めて海外進出を加速させている。表1に示す通り、日本企業の対外直接投資残高は1995年の2590億ドルから2015年には1兆2590億ドルへと20年で約5倍に増加している。特にここ数年の伸びは著しい。また海外売上高比率も急速に上昇し、売上の半分以上を海外市場に依存する構造が定着しつつある。なお、本調査は所在地別セグメント情報を開示している企業に限られていることに留意する必要がある。海外に在留する日本人も増えている。外務省「海外在留邦人数調査統計」によると、1995年の73万人から2015年には132万人へと20年間で1.8倍にまで増加している。日本に在留する外国人も増加の一途を辿っている。法務省「在留外国人統計」によると、1995年の130万人が2015年には223万人に達している。うち留学は25万人である。政府は「日本再興戦略2016」の中で、外国人材の活用を課題に掲げ、高度外国人材の積極的な受入れ、外国人留学生や海外学生の本邦企業への就職支援強化、グローバル展開する本邦企業における外国人従業員の受け入れ促進などの方針を示している。その一方で、移民政策と誤解されないように慎重な姿勢も示している。

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