カレッジマネジメント201号
64/68

に体育学科があるものの、スポーツを冠する学部の設置は初だ。スポーツ科学部ではスポーツを総合科学として捉え、競技力向上等を科学的に探究するアプローチをとっており、コーチング学を中核に自然科学・医科学・社会科学等、関連領域を学際的かつ総合的に追究する。4年間通して養うのは「反省的実践家」としての能力。即ち、実践、省察、課題の概念化、問題解決、それを軌道修正しての実践といったPDCAサイクルを、自ら主体となり循環させる能力である。これは、学生が将来どんな進路を選ぶにしろ必要となる、社会人の基盤能力でもある。同学部はその能力形成に当たり、競技者としての体験知を軸に、思考や理論を確実に修得していくカリキュラムを構成しているのだという。両学部の拠点である三軒茶屋キャンパスは、「地域開放」「共存」「人にやさしい」がコンセプト。その言葉通り、門や敷居がなく、世田谷の閑静な住宅街に馴染むフラットなアプローチだ。1号館は地下2階・地上8階の10層構造で、採光等を考慮し中央部に吹き抜けを配置。規模も様々な座学用の教室と、競技ごとに最新の体育施設がある。道を挟んだ2号館には図書館とラーニングコモンズを配置し、学習に集中できる環境を整えているほか、災害時に備え、様々な防災機能も備える。日大で1つのキャンパスに2学部が誕生するのは初めてのことだという。4年後、各領域のプロフェッショナルが輩出されるのも楽しみだが、専門性は異なるが未来志向という意味では共通する両学部が、どのように学部横断的価値を生み出していくのか、その相乗効果にも注目したい。 (本誌 鹿島 梓)日本大学(以下日大)は、16学部の学びに7万4000人(通信・短大含む)の在学生と113万人もの卒業生(2016年5月現在)を擁する、国内屈指の総合大学だ。2019年に130周年を控え、様々な記念事業の一環で、2016年春に開設したのが三軒茶屋キャンパスである。この都心キャンパスに設置されたのは、危機管理学部とスポーツ科学部だ。日大では28年ぶりの新学部となる両学部。いずれもこれからの社会課題の解決に寄与できる人材育成を掲げている。危機管理学部が見据える未来の事象の1つは、グローバル化による多様性の拡大である。価値観が多様になれば社会の幅は広がる一方、対立が起こりやすくなり、そこに危機管理の必要性が生じる。それには専門的な技術の前に、社会の枠組みから発想する思考や、相手の文化的・歴史的背景の理解等が欠かせないという。そのため、法学教育と総合科目で、リーガルマインドと幅広い教養を身につける、独自の危機管理学カリキュラムを展開している。また、危機管理とは、起こったことに対処する「クライシスマネジメント」と、危機の発生を未然に防ぐ「リスクマネジメント」の両方が必要だという。災害や国際紛争等の報道の印象からか、一般的には前者が注目されがちだが、社会を平穏に守るためには後者の観点も必要だ。社会の安全を脅かすあらゆる事象を研究対象とし、最前線で活躍した経験豊富な教授陣が指導する。スポーツ科学部は、国が掲げる「スポーツ立国」施策に呼応し、健康増進や競技スポーツの振興等を担うべく開設された。もともとスポーツ全般に強い日大だが、意外なことに、文理学部68リクルート カレッジマネジメント201 / Nov. - Dec. 2016定員366人の大教室では共通授業等が行われる。ほかに講義形式で100〜160人収容可能な中教室、語学授業で使われる小教室、コンピュータ科目で使われるPC教室等がある。

元のページ 

page 64

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です