カレッジマネジメント201号
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70メートルのリズム  練習場の奥にいくつもの「的」が並ぶ。弓を抱えて勢揃いしてくれたのが、長崎国際大学・アーチェリー部のメンバー達だ。九州王座決定戦で優勝し、毎年6月に実施される全日本学生アーチェリー王座決定戦に出場。男子ベスト8、女子は3年連続準優勝という輝かしい成績を残している。総勢52名もの部を受け継いだのが主将の桑江良樹さん。「6月の全日本学生王座決定戦終了後に、自分達の代に変わりました。部員による投票で選ばれたので責任の重さを感じています。多くの部員は高校時代からアーチェリーの部活経験者なので、それぞれのやり方や運営方法がある中で、その経験値を調整しながら、うまく連携していければと考えています」。そう語る桑江さんは、中学1年生からアーチェリーを始め、高校3年間、寮生活をしながらこの競技に打ち込んできた。「アーチェリーの魅力を体感することで、もっとうまくなりたいという向上心も生まれ、高校時代の顧問の先生から、長崎国際大学の金 相勲監督をご紹介頂き、山口県からここ長崎に来ました」。アーチェリーで大切なことは、一定のリズムで弓を引くことだという。自分ならではのブレないリズムを鍛え上げることで、毎回、安定して同じところに矢が飛んでいくようになるのだ。「競技における的までの距離は70メートルです。この距離を、いかに同じ軌道で矢が飛んでいくようにするかが決め手です。カチッと音の鳴るところまで引き、矢を放つのですが、その瞬間の手ごたえや飛んでいく矢の軌道を見れば、的のどこに行きそうなのかが分かります。だからこそ、弓を引くリズムを体で覚えるのが大切になるのです」。その引く力は四十数ポンド(およそ20キログラム)の力が掛かる。見た目の瞬間的な静けさとは裏腹の気力と体力が求められる競技なのだ。真夏の炎天下、彼らは黙々と弓を引き続ける。日々の鍛練から培った「70メートルのリズム」を完成させた時、若きアーチェリーの精鋭達が、未来の的を射ぬいてくれるに違いない。          (写真・文/西山俊哉)桑江良樹 さん(人間社会学部 国際観光学科3年)学生のリーダー長崎国際大学 アーチェリー部当代当代Vol.63桑江(主良樹さん)良将

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