カレッジマネジメント202号
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20リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017ついて学生の個別指導・相談を行うが、16単位未満除籍の候補者への修学指導は、その最も重要な仕事の1つといえる。琉球大学学生生活委員会『指導教員の手引き』の内容は充実しており、学期始めの学科別・年次別懇談会や、原則、全員参加の1・3年次合宿研修の実施も含めて、きめ細かな指導が行われていることが分かる。学生指導に力を入れていることが、除籍防止に大きく寄与していることは疑いない。独自の経済支援─授業料免除・学生援護会・後援財団単位不足に限らず、除籍者数の全体も、過去5年の間に減少している。この1、2年で、顕著に減少したのが授業料未納による除籍である。沖縄の経済事情を反映して、もともと学生の家庭背景は豊かなほうとはいえない。琉球大学学生部学生課『平成27年度学生生活実態調査報告書』によると、家計支持者の年収が400万円未満という学部生の割合(全学部学生数7318名のうち、回答した学生1683名中830名)は、最近の調査では約5割に相当する。両親が無職無収入のため、奨学金やアルバイトで家計を支えている学生もいるという。実際、学部生の中で日本学生支援機構の奨学金を受けている割合は、2015年度は5割近くだった。第一種(無利子)のほうが、第二種(有利子)より多い。1999〜2003年には休学者のうち、4分の1を「真に経済的な理由」によるケースが占めていたという報告もある(黒田登美雄・岡崎威生「琉球大学における入学者選抜試験の追跡調査」『大学入試研究ジャーナル』No. 16、2006年)。琉球大学では2011年度から、文部科学省から措置された加算分に大学独自の財源を加え、授業料免除者数の増加に努力している。免除者数の内訳を見ると、2010年度は半額免除がほとんどだったが、全額免除がこの2年で急増し、2016年度前期には685人と、半額免除を上回った(図表2)。半額免除と合計すると、在学者の約17%に当たる。申請者に対する免除者割合も全体で9割近い。未納除籍が大きく減ったのも、この独自の経済支援の効果だろう。「琉球大学学生援護会」の行ってきた学資金の支給も、特筆すべき事業であり、大学評価・学位授与機構(当時)の機関別認証評価でも「優れた点」とされたところである。現在は学資負担者の解雇・死亡等の場合、世帯収入が200万円未満で経済的に困窮し、かつ授業料半額免除を許可された場合に、年間授業料の25%相当額を給付する事業で、毎年25人ほどの在学生に支給している。学生援護会の発足は2005年。教職員や大学生協等からの寄附金で、大学院生や留学生の支援を含む学生支援を行ってきた。それが2016年度決算終了後に解散する(図表3)。国立大学法人への寄附金(学生の修学支援向け)税額控除対象法人の要件を満たすため、「琉球大学修学支援基金」へ移行するのである。なお、留学生後援会由来の寄附金は「琉球大学基金」に移行するとのことである。大学独自の経済支援はほかに、1951年に設立された「琉球大学後援財団」(現在は公益財団法人)による給付奨学金がある。財団の事業全体では、大学院生の研究助成や留学生受け入れの予算が多いが、学部生及び大学院生向けには、個人名を冠した奨学金が用意されている。特定の専門分野の学生に対して、年額5万円、10万円又は20万円を給付するというのが内容である。2015年度は、10人の学部生及び6名の大学院生が受給している。移民県の歴史を背負った未来戦略今回の訪問の際、那覇空港には5年に1度の開催を目前に控えた「第6回 世界のウチナーンチュ大会」の横断幕図表2 2010年~2016年度前期授業料免除者状況数(人)2010年前期2010年後期2011年前期2011年後期2012年前期2012年後期2013年前期2013年後期2014年前期2014年後期2015年前期2015年後期2016年前期全免2224257158315321231300185424568486685半免93790683489984882210078921077921686850584不許可498310280196244137190113203142247144247申請者に対する免除者割合66%75%80%84%83%89%87%91%86%90%84%90%84%申請者数1457124013711253140712801428130514651487150114801516
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