カレッジマネジメント202号
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23建学の精神から学部学科構成に至るまで、福祉大学ならではの強みが具現化されていると言ってよいだろう。人類の福祉に貢献すべく利福の精神を有する人材を育成することは、福祉大としてのリソースが十分に発揮されてこそ可能になる。そうした観点から見れば、福祉大でこれまでにも学生支援の充実が図られてきたことは首肯できる。保健室をはじめ、ウェルネス支援室(健康で充実したキャンパスライフ支援)・学生相談室・障がい学生支援室が設置されており、これら以外に、修学面や生活面の支援は教務課や学生生活支援課、ボランティア支援課が行う。また、福祉大学だけあって、障がい学生支援やボランティアに関わる学生団体・サークルの多さは日本屈指だ。6割以上の学生がボランティア活動を行い、7割が学生団体・サークルに所属している。さらに、20年前から初年次ゼミを行い、4年間を通してゼミで学生を個別に支援している。さらに経済的支援も充実させてきた。東日本大震災の被災地にある大学として授業料減免措置も続けている。奨学金は、日本学生支援機構や地方公共団体・民間育英団体の奨学金に加え、大学独自の奨学金制度(東北福祉大学奨学金)が整備されている。大野課長は、経済的な問題については相談に来てくれさえすれば、学生は100%残留すると胸を張る。専門性に裏打ちされた手厚い支援が効いている証左だ。それでも、年に数名は経済的理由で退学していく。相談に来てもらえばという忸怩たる思いが大野課長にはある。だからこそ、福祉大は多面的な取り組みを展開し、学生を大学に包摂していこうと努めている。一般に、大学コミュニティの一員だと実感できている学生のほうが高い学修成果を上げ、満足度が高い。だが、不幸にしてそうならないこともある。自分の居場所がない、居心地が悪いと思えば、人は仕方なくその場を離れていく。中退率は1%台と低い水準だが、そんな不幸な巡り合わせをできる限りなくしたい。大学中退が明るい未来を拓く契機になるなら問題ないが、学生が不本意な形で中退してしまう、あるいは中退せざるを得ないというなら話は別だ。「せっかく入学してくれた学生が志半ばで辞めることのないよう、出口まで支援していきたい」と語る大野課長の言葉には、福祉大の基本的な姿勢が表れている。福祉大が多様にアプローチするのはそんな思いからだ。もちろん中退は経営的にも打撃である。しかし、せっかく入学してくれた学生には、1つでも多くの学びと経験を積んで卒業してもらいたい。大学関係者としては当然の思いだろう。「中退防止対策会議」による情報共有強化このように福祉大では多様な組織が学生支援に携わってきた。現在はさらに、IRセンターが過去の中退状況に関するデータを収集・分析する等、中退に至る要因を把握する取り組みも加わった。しかし、それら多様な組織が全学で有機的に連携できていたわけではないと、梶原センター長は指摘する。例えば、福祉大では長年1・2年生を対象にクラス担任制が敷かれており、問題や悩みを抱える学生が担任に相談することも多く、教員は個別に対応してきた。ただ、情報が教員止まりとなって共有されないこともあったそうだ。そこで、早期の問題把握と有効な対策・支援を講じるべく、今年2月に「中退防止対策会議」を立ち上げたのだという。議長は梶原学生生活支援センター長。その他、キャリアセンター・入学センター・IRセンター・教務課等、学内関係組織から教職員16名が参加する形で構成される。学生生活支援センターの下に位置づけられ、学期に2回程度開催されている(図表1)。リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017・学生生活支援センター長(議長)・教務課長・学生生活支援センター副センター長・キャリアセンター長・企画部長・キャリアセンター課長・入学センター長・IRセンター室長(教育情報分析室 企画・改善部門)・入学センター長代行兼ウェルネス支援室長・IRセンター室長(教育情報分析室 調査・分析部門)・入学センター副センター長・学生生活支援課次長・入学センター課長・学生生活支援課長(事務局)・教務部長・ウェルネス支援室員(事務局)中退防止対策会議学生生活支援センター図表1 中退防止対策会議の構成特集 中退予防の処方箋
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