カレッジマネジメント202号
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24リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017この対策会議が目指すのは学内での情報共有の徹底だ。各部門が縦割りで個別に対応するのでなく、組織横断的に連絡を緊密にして情報共有と認識の共通化を図り、対応を決めていこうとしていると梶原センター長は説明する。ただ、対策会議ができてまだ半年余り。その効果は必ずしも明らかではない。それでも対策会議ができたことで、学生相談や欠席者についてより細かな情報を吸い上げ、それを学生生活支援課に集約を図ること、素早く対応することが可能になってきたことを肌で感じると大野課長は述べる。担任教員から学生生活支援課に上がってくる案件が年に数件から二桁に増加したそうだ。梶原センター長も、教員側にも学生情報を上げる道筋が理解され、整理されてきたのではないかと見る。そもそも学生に関する情報は、学内の多様な現場から多様な形でもたらされる。担任の教職員や学科教員からは学生の全般的状況、教務からは授業履修状況、財務からは学納金未納情報、課外活動を行う学生からも人間関係に係る情報等が入ってくる。問題の性質に応じて専門部署が最も有効な手段を講じるが、そのためにはできる限り情報の共有化が必須だという。もちろん、学生相談の内容等、安易な共有化には慎重でなければならない情報も存在する。そうした留意点に注意を払いつつ、今後はデータ集約のシステム化、報告基準のマニュアル化等、さらなる効率化を目指していきたいと梶原センター長は語る。初年次教育「リエゾンゼミⅠ」による結びつきそれでは、授業の現場ではどんな取り組みがなされているのだろうか。近年、どこの大学も学生支援に力を入れているが、なかでも共通して取り組みが見られるのが初年次教育だ。とりわけ、高校教育から大学教育への移行期にあり、まだ大学生活に順応できていない1年次への支援は重視されている。梶原センター長も初年次教育の大切さを強調する。1年次でのつまずきは、高学年次のパフォーマンスにも影響を与えかねない。福祉大が初年次教育として展開するのが「リエゾンゼミⅠ」だ。20年前から「人間基礎論」として開始、2011年度から「リエゾンゼミ」に名称を変えた。リエゾンという名称が象徴する通り、大学における学習や生活に必要な多様な「結びつき」―高校教育と大学教育、基礎教育と専門教育、学生と教職員と地域の人々―を強化することを目指している。「リエゾンゼミⅠ」は各学科単位で学籍番号順にクラス編成が行われ、2016年度には64クラスが開講されている。2年生の「リエゾンゼミⅡ」は初年次の学びを専門の学びへとつなぐ位置づけだ。リエゾンゼミⅠでは共通テキスト『学びとの出会い-リエゾンゼミ・ナビ-』(http://www.tfu.ac.jp/liaison/edu/でダウンロード可)をもとに、基本的な大学生活に関する知識、学習スキルやコミュニケーション・スキル、論理的思考力や問題解決能力を社会との関わりや実践を通して身につけていく。クラスを選択できる2年次以降は、担任の専門性に応じて多様な内容で展開されるが、担任によっては1・2年生合同でゼミを開講している場合もあるという。こうして、大学教育への移行・人間関係の構築・専門教育への導入が図られる。興味深いのは、主担任は教員だが、副担任に職員がつくことも少なくないことだ(図表2)。「大学職員も教育者だ」というのが前学長の考えだったと大野課長は述べる。職員が入ることの意義は、1年生が必要とする大学生活に関する情報に職員のほうがよく通じている点だ。しかも、図表2 リエゾンゼミⅠのクラス編成 副担任(学科教員及び職員)ピアメンター(学科先輩学生及び大学院生)主担任(学科教員)1クラス20〜25 人
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