カレッジマネジメント202号
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27ている。CAの存在なくして、入学者の大学生活への適応は成り立たないと言っても過言ではない。CAは学内組織で言えば学生係の下部に位置する大学職員であり、その役割は多岐にわたる。学生の入口〜出口までに関わり、オープンキャンパスの運営・高校生の進路相談から始まり、入学後はクラス運営・履修相談・学生生活の相談・就職相談まで、入学から卒業までの学生サポートを一貫してCAが行う。そのためCAに求められる能力も多様であり、コミュニケーション力はもちろん、課題発見力・状況把握力・実践力・統率力・適応力・計画立案力等の高いスキルが求められる。学生と年齢の近い、30代前後の若い職員がその役を担い、現在20名ほどのCAの約3分の2が女性であり、身近な社会人の先輩として積極的に学生に介入し支援する。全ての学生に対して定期的に半期に1回(年2回)は面談し、欠席しがちな学生に対しては、電話での呼び出し・保護者への連絡による学生の状況の確認等の配慮をし、学内のイベントに誘い出し、就活シーズンになれば綿密なアドバイスをする。もちろん、学生からの相談の申し出には丁寧に応じる。学生を欠席させないよう、学生が個別に抱える困難を見つけ出し、それに迅速に対応する。対応は全て1対1、相談に応じた学生一人ひとりのカルテを作成し、そこに相談内容や対応方法を書き込み、それを引き継いでいくのだそうだ。学生は自分に親身になってくれるCAには、次第に心を開いていくという。自分の存在を認めてくれる人がいるという感覚の醸成が、大学に留まる意味を見いだすことにつながっていくのだろう。ここまで学生の面倒を見るCAの育成は簡単ではないが、学生への対応方法は、先輩職員からの指導によるOJTが主であり、それとともに週一回CA全員が顔を揃えて相互に情報を交換しつつ、対応方法を身につけていく。また、CAのハンドブックを作成しており、統一の指導ができるように工夫がなされている。プロジェクトへの巻き込み大学に学生をつなぎとめる工夫の1つは、学生が主体的に参画する場の設定であり、毎月のように何らかのイベントが企画されている。4月の入学式前のスタートアップセミナー、6月の未来祭(学園祭)、7月のプレゼンテーション大会、そして最も大きな企画が11月の三幸フェスティバル(体育祭)である。これらのイベントは「プロジェクト」と呼ばれ、1・2年生は全員参加で、学生が主体となっての企画で実施される。こうしたプロジェクトのなかで友人を作って一体感を得、組織を作り上げていく意味を理解し、自らが参加することで何かが成し遂げられる喜びを実感していくのである。また、CAの役割は相談役だけではない。学生の可能性を見つけ、その可能性を最大化させることも重要な役目である。CAが受け持つ授業(カレッジ&キャリアスキルズ)で、毎回ポートフォリオを作成させ、学生個々の気づきを確認する。プロジェクト等への参加に際しても、CAは社会人目線からアドバイスをし、社会人基礎力の育成に注力をする。こういったプロジェクトを通して、PDCAを繰り返し、学生の小さな成長を確認し、CAがタイムリーにフィードバックをすることで、学生の成長実感を高めていく。学生自らがこれらのプロジェクトを遂行させるための仕組リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017図表1 3方向からのサポート特集 中退予防の処方箋図表2 学友会組織図学友会自治委員会大学祭実行委員会(以下の代表者で構成)クラブ委員会(以下の代表者で構成)広報委員会エコ美化委員会地域連携推進委員会未来祭三幸フェスティバル謝恩会実行委員会ピアサポーター学友会代議委員会選挙管理委員会監査部活同好会こども心理学部・モチベーション行動科学部に在籍する全学生

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