カレッジマネジメント202号
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28リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017みが、「学友会」である。この組織は図表2に示したように、全ての学生が参加している。その学友会の中心組織が学友会代議委員会であり、そのもとに大学祭実行委員会・クラブ委員会等、学内の活動を主導する委員会から、学外の地域と連携する地域連携推進委員会、オープンキャンパスで活躍するキャンパスクルーを統括する広報委員会等の各種委員会が置かれ、それらが学生の自主的な参画によって維持されている。これらの委員会は、いわばサークル活動のようなもので、これらに積極的に参加することは、大学生活をエンジョイすることにもなっており、参加することで達成感や自己効力感を得ていくという。興味深いことに、当該大学では入学生の90%程度が、オープンキャンパスに参加したことが進学の決定要因となっているという。そうであればオープンキャンパスの役割は大きい。そこで活躍するのが広報委員会のキャンパスクルーである。年間を通じて約40回開催されているオープンキャンパスでは、50名ほどの学生がキャンパスクルーとして学内を案内し、高校生の進路相談にのり、未来大で学ぶことの楽しさを伝える。キャンパスクルー達も、高校時代にキャンパスクルーに魅了されて進学をした者が多く、その魅力を高校生に伝えるには適任である。そして、未来の下級生に対して先輩の役割を果たすことが、自信や誇り・愛校心醸成につながっていくという説明は、とても納得できる。また、地域連携推進委員会は、80名ほどの学生が参加しており、「こどもみらい祭」や「クリスマスコンサート」等、地域に結びついた様々な活動を行っている。また、未来大の学生が中心となって、足立区にある他大学の学生と「Adachi Students Network」を立ち上げて活動し、足立区に住む人々にインタビューした記録を「足立人図鑑」としてウェブ放送する等、活動の範囲は大学を越える。高校までの学校生活であまり得ることのなかった成功体験は、こうしたイベントへの参加によって初めて得ることができ、そこに大学生活を継続することの意味を見いだしていくのである。未来大では、これらの活動を学外活動とは位置づけていない。そうではなく、学生が成長するためのTFU人材育成プログラムの両輪の1つである、「プロジェクト」なのである(図表3)。積極的なFD活動と授業の工夫このTFU人材育成プログラムのもう1つの輪が、いわゆる大学教育(教学)である。ここには、どのような工夫があるのだろう。教職員は、どのように学生をサポートしているのだろう。興味深いのは、学生に対して、例えば「疲れた」「これは無理」といったネガティブな言葉を絶対使わないように周知していることである。これまでの学業生活においてネガティブ志向が強い学生が多いなか、教職員がそれを増幅するようなことはしないことが原則なのである。近年でこそ喧伝されているアクティブラーニングであるが、未来大では設置当初より、学生参加型の授業を主軸に据え、地域の体験型学習、企業でのインターンシップを多くし、その背後では労働市場に出ることの意味をキャリア教育で教えるという、きめ細やかな授業によって学生の勉学への意欲を引き出そうとしてきた。それを可能にするのが全学的なFD活動である。学生の授業評価アンケートによって毎年ベスト・ティーチャーを選んで表彰したり、半期ごとに1〜2週間を授業参観週として設け、教員が互いの授業を参観して授業の工夫を学んだりと、授業の質向上の仕組みが整っている。年2回の全体会議において、全教職員が参加するFD活動を実施し、授業の工夫について意見交換する場があるという。座席の決め方、携帯を授業に取り入れる方法、また、学問と学生の日常生活や地域との関係を結びつける方法等、どうやって学生が授業に出ることに興味を持たせるか、些細な取り組みから大きな課題まで、議論は尽きないという。プロジェクトサイクル図表3 TFU人材育成プログラムTFU=TOKYO FUTURE UNIVERSITYPROJECT CYCLE教学サイクルSTUDY CYCLE三幸フェスティバルみらいプロデュースインターンシップグローバル活動(留学など)プレゼンテーション大会部・同好会・サークル活動スタートアップセミナー学友会自治委員未来祭実習ボランティアゼミ・卒論成功の法則産学連携一般教養専門教育キャリア教育社会で必要とされる人財に卒業入学地域連携オープンキャンパススタッフ

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