カレッジマネジメント202号
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31リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017学系も包含した地域の人材を育てる教育課程を作ろうと、2015年に教養学部地域教養学科の1学部1学科に改組しました。こうして本学は、2015年4月から教養学部と薬学部の2学部による新体制となりました。さらに2016年9月には、学校法人「明星学苑」から法人分離して、学校法人「いわき明星大学」に移行しました。地域に根差した大学である以上は、法人の意思決定等も機動的かつ地域密着でいこうという覚悟の表れです。全国でも高い合格率を誇る薬学部教養学部では、海外を含めた広い視野を持ちながら、地域を拠点として活躍するグローカルな人材「地域基盤型職業人」の養成を目指しています。具体的には公務員・企業人・教員等、地域の団体・企業で活躍できる人を想定しています。そのため、初年次から基礎学力・社会人基礎力・基本スキルをしっかりと身につけられるよう、4年間一貫のキャリア教育を実施しているのが特徴です。そのための専任教員を6人新規採用し、本気でキャリア教育に取り組んでいます。本学の学生は優れて偏差値が高いわけではないため、勉強の方法を着実に身につけさせようと考えました。そこで、「生徒(高校生)から自ら学ぶ学生(大学生)へ」をスローガンに、勉強しないと落第させるという懲罰的な詰込みはやめて、再試験や追試験を何度も行い、合格点が取れるまでサポートする教育システムを特徴としています。まずは初年次のフレッシャーズセミナーで、他人の話を傾聴し、批判的な意見を持って発表する教育にかなりの時間を割きました。これを2・3年生にも拡充すべきだとの意見が出て、初年次から3年次まで一つのパッケージとしています。学生の潜在能力に着火(イグニッション)するの意味から、「イグナイト教育」という本学独自の教育プログラムが生まれました。課題に対し、グループで調査・討論・プレゼンテーション等を通じ解決を試みる実践的な内容です。病院に実習に出たときなど、本学の学生はプレゼンテ-ションが上手だと評価されています。また、実学系の学部である以上、国家試験合格は共通目標です。そこで、入学時にプレイスメントテストを行い、試験に必須である化学の基礎学力を補強する学内塾「クラムスクール」を展開しています。内容が分かりやすいため、文系クラス出身の学生も遅れを取らずに先に進むことができています。そして、2年次の後半から6年次までの間に、演習問題中心の本学独自のプログラム「ファーマドリル」で反復学習を実施しています。ファーマは薬、ドリルは反復学習の意味です。これらのきめ細かいサポート体制が功を奏し、2013年の1期生以降、薬剤師国家試験の合格率は東北・北関東エリアで1位・2位を競うレベルを誇ってきましたが、2016年には全国1位の実績を得ることができました。教育効果の可視化に注力地域に貢献できる人材を養成する大学として、今後は地域の保護者や高校生などに訴求力ある教育効果を可視化していく必要があります。薬学部は国家試験合格率で分かりやすいのですが、教養学部は特に、学習成果の目標設定を可視化すべきです。そこで教養学部の1期生においては、就職の目標として「トリプルファイブ(3つの5)」をスローガンに掲げたいと考えています。3つとは、教養学部で育てたい地域基盤型職業人の公務員・企業人・教員です。公務員は市庁以上の自治体に5人採用、企業人は日経225の企業に5人採用。教員は教員採用試験の合格者5人です。近年、就職環境は良好なので、就職率にとどまらず目標にはクオリティーも問いたいと思います。2017年4月には、看護学部が開設されることになりました。これも県の看護協会を始め、地元からの強い要請に応えるものです。将来的には理学療法、作業療法等、医療系の分野をより強化することを構想しており、地域に根差す大学として、さらに資格取得が仕事に直結するような大学づくりを目指していきたいと考えています。

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