カレッジマネジメント202号
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35リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017校を合わせても4000人にしかならない。果たして200校をゴールにしていて良いものだろうか。DPを一部日本語で受講することができるようになった。既に2校が日本語DPコースを設置している。ただし、日本語DPとはいえ、外国語ともう1科目は英語等で受講して最終試験を受けなければならない。これはかなりハードだ。高校在学中に少なくとも留学できるレベルであるCEFRのB1が必要となる。そのためには中学卒業段階で最低でもA2が必要となるだろう。果たしてどのくらいの中学生がこれに達するだろうか。中学トップ層の英語教育の充実がさらに求められる。そうでなければ、日本語DPが増えても進学してIBディプロマを取得できる生徒を確保できない。また日本語DPで得たディプロマは英語DPで得たディプロマと同じ価値を持ち、資格として何ら変わらないということも知っておくべきことである。200校の目標達成のためには公立高校での導入も必要であろう。今、数県での設置が計画されている。そのなかで、広島県が構想するグローバルリーダー養成の中高一貫校ではIBDPを提供することを予定している。ここでは高校1年生までにCEFRのB2の英語力を修得させることが目標だ。瀬戸内海の島に全寮制で設置され、高校段階から留学生を受け入れることも予定している。CAS等で社会に開いた教育ができるかが課題である。関西学院千里国際中等部・高等部では、1991年の開設以来IBを採用している大阪インターナショナルスクールと同じ校舎を使い、施設を共用するだけでなく、体育や音楽、芸術の授業、体育祭等の学校行事も共同で英語で実施している。こうしたことで中学から自ずと英語に慣れ親しみ、希望者は英語でのDPを取得することができる。広島県福山市の英数学館では日本語DPと英語DPを併設している。日本語と英語が堪能な教員を配置できれば人件費を抑えることができるし、生徒も英語に触れる機会が増えるのではないだろうか。この一条校とインターナショナルスクールの併設、日本語DPと英語DPの併設を全て展開する計画なのが、武蔵野大学の設置する千代田インターナショナルスクール東京と千代田女学園高等学校だ。武蔵野大学は仏教主義の学園。TOKと仏教思想の融合が試みられるとIBが仏教国に一挙に拡がる可能性も出てくる。一方で玉川大学に加えて、岡山理科大学や都留文科大学・筑波大学・東京学芸大学などでIB教員養成も始まる予定だ。東京都は玉川大学と連携してIB教員の育成を研修として始めている。教員の養成も本格化し始めた。日本では、高校で受講して取得した単位を大学の単位にすることはできない。海外ではアドバンスト・プレイスメント(AP)という制度があり、IBの上級レベル(HL)の科目を大学の単位とすることができる。これによりIBディプロマ取得者はHL科目について授業を免除される。単位ごとに授業料を設定している大学ではこれが奨学金になる。半期の単位をクリアできれば1セメスター分の授業を受けなくて済むことになるのだ。日本でもAPが認められるようになれば留学生確保を促進できる。また、IBディプロマ取得のための最終試験は年に2回実施されるが、日本のDP校はオーストラリア等の学校年度に基づいて設定された日程で受験するため、他国に比べて授業を1カ月早く切りあげねばならず、明らかに不利な状態にある。こうしたところも国際バカロレア機構と調整して正していきたいところだ。こうしてIBDPが広く展開されるようになると、中学では英語教育のさらなる充実を求められ、大学では議論を中心としたアクティブ・ラーニングが当然のものとなり大きく教育を変えなければならなくなる。世界最高水準と言われるIBは、日本の教育改革の起爆剤となるのである。年度20112012201320142015IBディプロマ受験者(人)60,08463,03168,03574,29075,919 うち日本人受験者(人)505543633644761IBディプロマ取得者(人)46,94950,12954,46459,62861,826 うち日本人取得者(人)451482571582701図表3 IBディプロマ受験者及び取得者の推移日本語DPでIBディプロマ取得者は増えるか日本のDP校もバリエーション豊か課題も見えてきた
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