カレッジマネジメント202号
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36多面的・総合的な評価を組み入れた入試を設計しようとなると、次の2つについて検討する必要があろう。(1)どのような資質を、(2)どのように評価するのか、という問題だ。ただ前者については、既に各大学が「アドミッション・ポリシー」の文脈で議論してきた点でもある。アドミッション・ポリシーという言葉が初めて登場した政策文書は、1999年の中央教育審議会答申「初等中等教育と高等教育との接続の改善について」。以降、その策定や改善は、各大学に課された宿題であり続けている※1。ところで、企業の新卒採用にもアドミッション・ポリシーと似たような概念がある。「人材要件」だ。採用にあたって、企業は求める人材像を描いた人材要件を示す。例としてリクルートホールディングスが掲げる人材要件を紹介すれば、①「意志力」がある人、②「論理的思考力」がある人、③「成長意欲」のある人、の3つだそうだ。学生はこのような要件を見て応募するかどうかを決め、対して企業は要件を反映した試験を行い、採用するかどうかを判断する。その役割自体は、アドミッション・ポリシーが担っているものと同じだと言ってよい。連載2回目である今回は、この「人材要件」を糸口に、採用面接結果の向上をもたらす要因について議論したい。経営者や人事課の考えが盛り込まれる要件ではあるが、組織が置かれている状況に見合った設定の仕方というものがあるかもしれない。そして実際、分析結果からは注目される傾向も見いだせた。例えば、事務系と技術系では、納得がいく採用につながる要件に違いがある。選抜性によっても、結果につながる要因が異なっている。そして何より、新卒採用に制約を抱える企業ならではの方策というものも見いだせる。こうした分析結果は多くの大学にとって、学生募集や入試の戦略を練る際のヒントになるはずだ。では、採用面接担当者に実施した調査のデータから、どのような景色が描きだせたのか。順に説明していこう。オリジナル要件は強みになるか自分たちがどのような人物を求めているのか。かなりアバウトな問いだが、その答えを出そうとすると、まず自分達の特性を突き詰め、他の組織とは違う独自の要件を生み出そうとするところも少なくないのではないだろうか。気の利いた要件を示すことで、少しでも望ましいマッチングを目指す。方針として珍しくないように思われる。では、こうした要件のオリジナル性は、採用面接の場にリクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017「アドミッション・ポリシー」と「人材要件」大学入試は、企業の採用面接から何を学べるか「求める学生像」への示唆濱中淳子 大学入試センター2
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