カレッジマネジメント202号
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41リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017部を「第一のホーム」と位置づけ、そのほかに、学部の枠を超えて集まる「第二のホーム」で地域をフィールドに活動するというものだ。「1年生から、15人ぐらいのグループで県内各地の集落に定期的に行って、色んな課題を見つけて一緒に取り組んだり、お祭りのお手伝いをしたり、とにかく繰り返していくんです」。授業科目「ダブルホーム活動入門」を履修する1年生が200名弱。そのうち9割強が実際にダブルホーム活動に入っていく。2015年度は16の「ホーム」に1年生から4年生まで316人の学生が参加した。教員35人と職員44人(いずれも2015年度)による教職協働の指導体制も特徴だ。フィールドは中山間部の高齢化が進んだ集落が多い。「そこへ若者が入っていけば、最初はぎくしゃくするわけです。これまであまり大人と言葉を交わしたことのない学生も多いですから。それが活動を続けていくうちに、集落の長老の人たちとコミュニケーションが十分できるような、いわゆる大人になっていくんです」。こうした成果から、「集落で行うダブルホームの仕組みを企業や行政に拡張できないか」という発想が生まれたという。ダブルホーム企業版は、医学インターンシップ他学部版と並んで、教育効果の高いインターンシップになり得ると髙橋学長は期待する。また、1・2年生という時期のインターンシップには、「学ぶと働くをつなぐ」だけでなく、その手前のいわゆる転換教育の効果も期待される。これらの考えのもと、新潟大学では各種のインんだ教育改革としては、「主専攻プログラム」「副専攻プログラム」がある。2006年度にスタートした「主専攻プログラム」は、「学科で何を教えるか」という考え方を転換し、「どういう能力を持つ人材になるか」という到達目標に向かって42のプログラムが用意される枠組み。自分がどういう人材になり、どう社会で活躍するか、そこに行くための方法を自分で選ぶ、自律の学びだ。「副専攻プログラム」(2005年度開始)は、主専攻の120単位のほかに24単位以上を副専攻として学ぶと、卒業時に学位記とは別に履修プログラムの認定証書が授与されるもので、現在約40人が履修している。例えば主専攻が機械システム工学、副専攻が法律学で「法律に詳しいエンジニア」のように、どんな能力を身につけ、その能力を社会でどう活用するかを自覚的にする、まさに「学ぶ」と「働く」をつなぐ仕組みといえる。教育改革の一環として学習成果の可視化にも取り組み、「新潟大学学士力アセスメントシステムNBAS(エヌバス:Niigata University Bachelor Assessment System)」を2013年から運用している。学生が「今自分がどこにいて、これからこの目標を達成するために何をしなければいけないのか」を理解しやすくし、自律的な学びを助けるものだ。ただ、指導・評価の負担が大きいこともあり、当初は教員の反発が大きかった。しかし導入後、成果が具体的に見えてくるにつれ、反対の声は聞かれなくなったという。教員が成果をターンシップを充実させている。「長期・有償型インターンシップ」は、研修を含めて半年以上に及ぶものを2012年度から実施。2015年度にはAPに採択され、1・2年次を対象に3カ月から1年のインターンシップを実施している。COC+事業でも、学年進行に伴って専門的学修で習得すべき学問領域に密接に関連した「積み上げ型インターンシップ」をカリキュラムに位置づけ、参加学生数を伸ばしてきた。「経済同友会連携インターンシップ」は1・2年生を対象に1カ月以上の長期で行うインターンシップで、次年度からの単位化を前提に、今年度はトライアル参加した。様々な取り組みを合わせると、新潟大学のインターンシップは年間数百人規模となっている。しかし、1万人以上の学生に対する割合でいえば10%に満たない。将来は3割ぐらいにはしたいと髙橋学長は言う。将来の展開としては、「インターナショナルインターンシップ」も構想されている。例えば2016年度に文部科学省の「世界展開力強化事業」に採択された工学部の「メコン諸国と連携した地域協働・ドミトリー型融合教育による理工系人材育成」では、カンボジア、ラオス、ベトナム、タイのメコン地域4大学の学生と多国籍チームを編成し、インターンシップに取り組むことになっている。主・副専攻プログラムと学習成果を測るNBASキャリア教育の観点も含めて取り組

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