カレッジマネジメント202号
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連携や交流が生まれにくいデメリットがあり、四年制大学としてはそぐわない面が出てきた。学生が授業以外で過ごせる場所が少なく、キャンパス滞在時間が短い傾向もあったという。今回の整備計画で、学生が勉強したり友達と話したりする場所を多く作ったほか、キャンパスの中心に礼拝堂を、それを囲む形で校舎を配置することで、人が周遊しやすいよう、動線設計そのものを変更した。センターコートと言われる円形広場の要所の建造物として1期に竣工したのがN1棟・N2棟と、まさにキャンパスの中核たるエラ・ヒューストン記念礼拝堂だ。金城学院大学は建学以来、福音主義キリスト教に基づく女子教育を追求してきた大学であり、礼拝堂はその精神が息づく場所なのである。なお、1期に完成したこの3棟の建物は、第23回愛知まちなみ建築賞を受賞している。「安全で使いやすく、質の高い教育・研究環境の整備」が意味するのは、女子学生が安心安全に学べる場の整備、過ごしやすく快適な空間設計、学生の居場所になるスペース活用、専門性の高い授業に対応できる最新機器導入等、幅広い。教育・研究環境の整備は学生募集力にも寄与し、良質な教育提供に大きな役割を果たす。学生にとって日常過ごすキャンパスの在り様は、学問内容と同様に極めて重要だ。小誌「進学ブランド力調査2016」でも、金城学院大学は東海圏女子対象で、イメージ項目「キャンパスがきれい」の1位を獲得した。最後に「自然と共生する環境配慮型キャンパスの整備」である。大学キャンパスは名古屋の中心地である栄から電車で15分程度だが、広大な敷地に豊かな自然環境を有しており、自然との共生を図るため、学生を中心にした「金城里山コンサベーション(KSC)」が、大学の里山整備を積極的に行っているという。2期に竣工した西エリアのW3棟では、森の中のキャンパスをそのままコンセプト(WEST WOOD=西の森)にした学生食堂「LILY WEST」もオープンした。従来の伝統あるブランド力に加え、きれいで居心地の良いキャンパスで学生の学内滞在時間や交流は確実に増加し、充実した教育環境で仲間と勉学に励む正のスパイラルが回り始めた。KMP21の完成が今から楽しみである。(本誌 鹿島 梓)金城学院大学は東海圏有数の女子大である。学院の起源は1889年に遡る伝統校だ。2009年度の学院120周年を機に策定した中期計画の一環として、2011年度に「金城学院キャンパスマスタープラン(KMP21)」を決定した。老朽化が進んでいたキャンパスを中長期的に整備する、全3期に及ぶ大規模計画だ。奥村隆平学長は「1つのフェーズが完成した時点で振り返り、社会や時代に照らして課題や懸念事項をクリアにし、必要に応じて計画を修正していく柔軟な計画です」と話す。1期・2期はそれぞれ2014年度・2015年度に終了し、現在は2020年度以降の完成を目指し、3期の整備に着手している。KMP21のコンセプトは3つ。「多様な交流を促す空間の創出」「安全で使いやすく、質の高い教育・研究環境の整備」「自然と共生する環境配慮型キャンパスの整備」である。まず「多様な交流を促す空間の創出」について。短大が併設されていた時代(2002年に募集停止)は、食物・被服・児童保育等の専攻ごとに棟が分かれ、日当たりのよい南向きに一直線に並んでいたという。各棟で学びが完結するメリットがある反面、横断的な52リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017N1棟3階のラーニングコモンズ。プレゼンテーションエリア、グループワークエリア、ミーティングエリアに分かれる。

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