カレッジマネジメント202号
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8リクルート カレッジマネジメント202 / Jan. - Feb. 2017まる。また、私立大学では全額納付が2%、半額納付が17%で、計約2割が休学中でも半額以上の授業料を徴収している。私立短大でもほぼ同じ割合の18%が半額以上徴収している。また、保護者が病気やリストラになって収入がなくなった、あるいは亡くなられた等、家計急変に対する学生への支援も、図2のように大学によって対応は大きく異なっている。私立短大が61%とやや低いものの、日本学生支援機構の応急採用や緊急採用で対応しているという回答は約7割となっている。裏を返せば、約3割はこの制度を利用していないということもできる。次いで制度を有している大学の割合が高いのは、学費納入の延期や猶予である。私立短大で4分の3、私立大学で7割、公立短大で約5割、公立大学約4割が学費納入の延期・猶予となっている。しかし、国立大学では約4分の1に過ぎない。 これに対して、公立大学では約6割、国立でも約5割が授業料減免制度で対応している。また、大学独自奨学金は、私立大学で約半数、私立短大で約4割が制度を設けているが、国立大学と公立短大では約2割、公立大学では1割以下となっている。授業料減免と大学独自奨学金を合わせて約半数の大学が対応していると言えよう。中退者の実態3中退者に対するウェブモニター調査大学に対するアンケート調査では中退の理由は単一回答であり、「一身上の都合」と「不明」の比率が高く、中退の複合的要因を究明するには限界がある。大学中退者が中退した経緯・理由・現在の就業生活状況等を明らかにするために、2016年2月にNTTコムのウェブモニターアンケート調査を実施した。対象者は大学(昼間部・夜間部)に進学しその後中退した、18歳から45歳までの中退者である※3。47都道府県在住の722名(男性474名・女性248名)の大学中退者から回答を得ることができた。対象者の年齢分私立短大(N=198)公立短大(N=11)私立大学(N=356)公立大学(N=60)国立大学(N=75)全体(N=700)020406080100%■■ 1.大学独自の特別な奨学金制度の設定 ■■ 2.大学による一時金の貸付■■ 3.日本学生支援機構奨学金の緊急・応急採用の推薦 ■■ 4.地方自治体・民間奨学金の優先的な推薦■■ 5.学費納入の延期・猶予 ■■ 6.学費納入の減免■■ 7.銀行等の教育ローンの紹介・斡旋 ■■ 8.その他  411012131911164076613946557318447168515842721749238121106468253759548882764■■ 当てはまる  ■■ まあ当てはまる勉強に興味や関心を持てなかった学校生活に適応できなかった単位が取れず卒業できそうになかったほかにやりたいことがあった仕事をしたいと思った経済的に苦しかったしばらく休みたかった病気やケガがあった他の学校にかわりたいと思ったアルバイトが忙しかった家庭に急変があった010203040506070%37.328.933.229.833.822.416.116.114.516.116.913.27.315.78.313.79.311.212.37.67.88.9※3通信教育課程の出身者の属性は大きく異なると考えられることから、対象から除外した。図2 経済状況の急変者に対する大学の対応図3 中退理由 「当てはまる」と「まあ当てはまる」の比率

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