カレッジマネジメント203号
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15リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017校に一律に適用できる質のレベルを定めることは容易ではない。しかし、第三の「社会の期待に応えること」を基本的な条件として、各学校が自らの特色・個性を活かして定めた使命・理想像・目的・目標を達成することが、学校の質保証と考えるべきであろう。認証評価の成果と課題─ 課題は学生や社会の理解と支持大学、短期大学、高等専門学校に認証評価制度が導入されて十数年経過した。ここでは、大学機関別認証評価を中心に、その現状と課題を分析する(1)。認証評価は、教育研究水準の維持及び向上を図り、その個性的で多様な発展に資するために、次の目的を掲げている。・認証評価機関が定める大学評価基準に基づいて、大学を定期的に評価することにより、大学の教育研究活動等の質を保証する。・評価結果を各大学にフィードバックすることにより、各大学の教育研究活動等の改善に役立てる。・大学の教育研究活動等の状況を明らかにし、それを社会に分かりやすく示すことにより、公共的な機関として大学が設置・運営されていることについて、広く国民の理解と支持が得られるよう支援・促進する。大学評価・学位授与機構の認証評価を受けた大学等及び評価担当者に対するアンケート調査結果(4)によると、上述の3つの目的のうち、「質の保証」及び「改善に資する」という目的について、かなり成果があがっている(図1)。これに対して、「社会の理解と支持(社会的説明責任を果たす)」という目的の達成状況は、課題を残している。在学生や入学しようとしている学生・生徒あるいは社会の理解と支持への効果・影響については、残念ながら、必ずしも十分な成果が現れたとは言い難い状況である。社会的説明責任を果たすための最重要課題は、学修成果(アウトカムズ)の発信である。しかしながら、今までの認証評価では、インプットとアクションに関する基準が、学修に関するアウトプットの測定やアウトカムズの分析よりはるかに重要視されていたことは否めない。大学在学中に「どのような能力、知識、技能、態度等を身につけることが期待できるか」という情報を発信できるのは教育機関自身であり、それを第三者として保証するのが認証評価機関である。社会的説明責任を果たすためのもう一つの課題は、各大学の卓越性を如何に示すかということである。認証評価の目的の一つが、設置基準の適合性を確認であるから、これには、最低基準の指標が用いられる。しかしながら、社会が求めている判断は、その大学が「最低の要件を満たしている」という情報ではなく、その機関が「どのような分野で卓越しているのか」という情報のはずである。アンケート調査では、認証評価を受審するにあたって、自己点検・評価を実施したことによる効果・影響、及び認証評価結果を受けたことによる効果・影響について、それぞれ分析した。これらの結果は、「実態の把握」、特集日本型職業教育の未来図1 認証評価の目的達成状況18%10%8%41%46%5%70%17%3%62%19%1%社会の理解と支持改善の促進質の保証そう思わないどちらとも言えないそう思う強くそう思う020406080100(%)

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