カレッジマネジメント203号
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21リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017ことや育った環境を重視します。また前者に比べて新卒採用にも拘わりませんし、それぞれの個性を生かせる仕事を任せようと、職種もある程度想定して採用します。こうした特徴を持つ企業は、「ダイバーシティ型」と呼べるでしょう。ところでプロフェッショナル人材は、先ほど「人の数だけ仕事がある」と述べたように、元来個性的なものです。また培った専門性を買って採用しようとすれば、自ずと中途採用が中心となる。「ダイバーシティ型」の企業は自ずと「プロフェッショナル型」にも通じるわけです。── 一つの専門性を極めてプロフェッショナルになるには、約10年の歳月が必要だといわれています。環境変化のスピードが速まるなか、10年の間に身につけようとした専門性が不要になったり陳腐化したりという心配はないのでしょうか。確かに、「蒸気機関が発達して馬車づくりの技能を生かせる場が減った」というように、時間をかけて身につけた専門性の社会的なニーズが低下することがあり、そうしたキャリアを歩むことへの代表的な批判でした。ところが現在はITやAI(人工知能)の発展により、「一つの専門性のプロフェッショナルになるには、最低10年かかる」という前提が変化してきています。徒弟制で、親方の仕事を見よう見まねで覚えるという方法では10年かかっていたものが、Eラーニングの活用やAIに集積したナレッジからの学習といった方法を採り入れることで、以前はプロフェッショナルには10年といっていたのが、5年、3年、2年と短くなってきています。このように専門性を身につける期間が短くなると、仮に最初に学んだ職業分野が衰退しても、別の分野の再学習が可能になってきます。新たな専門性を2、3年で身につけられるなら、その後10年、20年と働くことで投資回収は十分可能になります。──専門性を身につけるために必要な期間が短くなることは、プロフェッショナルのあり方にも影響を与えるのでしょうか。ずっと一つの分野を極め、その道のエキスパートになる。これが伝統的なプロフェッショナルのあり方でしょう。ですが、専門性を学べる期間が短くなることで、「最初に身につけた専門性に、関連する別の専門性を身につける」「最初に身につけた専門性とは、全く違う分野に挑戦する」といったパターンも可能になります。一つの分野を極めた後に企業経営の専門性を身につけてビジネスリーダーになる道や、複数の専門性を身につけてプロデューサーになる道も広がってきます。まずは一つの専門性を極めて高い業績を挙げ、他者から評価を受けられるようになれば、キャリアの展望は広がります。「外国語を学ぶと、もうひとつ外国語をマスターするのはより容易になる」というのと同じように、一つの専門性を極めた人は、別の専門性をより効率的に極めることが可能になります。「まずはどれか一つの分野でプロフェッショナルを目指す」ことは、その後どんなキャリアを選ぶにしても、不利にはならないのです。──プロフェッショナルが活躍する社会で幸せなキャリアを実現するために、若者はどんな能力を身につけるべきでしょうか。学習するスキルが大切だと考えます。学生時代、誰かの押し付けではなく自発的に何かについて知りたい、学びたいと思う。それを勉強して、自分のものにしていくスキルです。若いうちに学習するスキルを身につけておけば、あとはいかに世の中が変化しても、状況に応じて必要な学習を続けていく。そうすることで持続的なキャリアの構築が可能になります。(まとめ/五嶋正風 撮影/冨永智子)特集日本型職業教育の未来
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