カレッジマネジメント203号
29/72

29リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017傾向にある。これは法科大学院の縮小(2005年度74専攻5840人→2017年度44専攻2689人)によるものだが、当初新規開設が続くことが期待されていた「一般」専門職大学院の増加が進んでいないことも問題視されている。◆入学者数・社会人比率の推移入学者数についても同様に、法科大学院への入学者数の減少による影響が顕著である(図表3)が、「一般」専門職大学院のうちビジネス・MOT分野、及び教職大学院については増加傾向にある(ビジネス・MOT分野/2011年度1861人→2016年度2397人、教職大学院/2011年度767人→2016年度1217人)。定員充足率についても、一般・教職はわずかながら改善傾向となっている。また、図表4に見られるように、在学生に占める社会人比率については分野ごとに大きく異なっている。「一般」のうちビジネス・MOT分野、公衆衛生分野で8割を超え上昇傾向である一方、臨床心理分野や法科大学院においては低下傾向であり、2割前後となっている。「ストレートマスター」と「社会人」で大きく異なる学生像専門職大学院の入学者の属性はこのように分野ごとに大きく異なっており、総括的に紹介するのは難しい。そこで、専門誌である『社会人&学生のための大学・大学院選び』においてこれまで累計1000人以上にわたって実施してきた大学院生に対する取材の内容をもとに、その学生の実像を大きく3つのカテゴリーに分けて紹介したい。第1に、「ストレートマスター」と呼ばれる、学部から直接大学院に入学した層である。前述の法科大学院、「一般」の臨床心理分野のほか、公共政策分野、知的財産分野、会計分野、及び教職大学院入学者の6割前後を占める。進学目的として「資格取得」「就職の有利化」を挙げる人が多いのがこのカテゴリーである。法科大学院は司法試験の、臨床心理分野では臨床心理士の受験に当たって条件となっているほか、弁理士・税理士・公認会計士にはそれぞれ優遇項目がある。公務員試験や教員採用試験の受験を考える者も多い。次に、入学者の半数を占める社会人についてだが、同じ「社会人」といっても、所属する企業や組織がその費用を負担する場合と、自己への投資として学費を自費でまかない入学する場合とで、その像は大きく異なる。前者のタイプの社会人学生は、基本的に現職と専攻分野が直結している。例えば教職大学院に入学する現職教特集日本型職業教育の未来図表3 専門職大学院の入学者数・定員充足率の年度別推移※文部科学省「学校基本調査」等より筆者作成0200040006000800010000(人)(%)020406080100入学者数定員充足率2007年度2008年度2009年度2010年度2011年度2012年度2013年度2014年度2015年度2016年度入学者数(人)一般3350 3434 3657 4005 3722 3616 3708 3597 3700 3804 教職大学院641 747 805 732 782 802 771 874 1217 法科大学院4121 4121 4121 4121 3619 3147 2698 2270 2185 1846 定員充足率(%)一般82%79%82%85%78%75%75%72%75%79%教職大学院92%92%96%88%96%98%93%98%99%法科大学院71%71%71%84%79%70%63%60%69%68%

元のページ  ../index.html#29

このブックを見る