カレッジマネジメント203号
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36神戸電子専門学校と神戸情報大学院大学を運営する学校法人コンピュータ総合学園は、50年を超える伝統を持ち、国内で最も長い歴史を持つコンピュータ技術の教育機関として専門的職業人の養成に取り組んでいる学校法人である。技術革新や社会の変化の影響を受けやすい情報技術を通じて職業人を育成する教育機関として、その取り組みにはどのような特徴があるのであろうか。神戸電子専門学校と神戸情報大学院大学の実践は、変化が大きい職業教育のあり方を考えるヒントになるだろう。起源は高度成長期を支える技術者養成神戸電子専門学校は、「人間力と品位を有する専門職業人を育成する」という教育理念のもとに、情報処理学科・情報ビジネス学科・デジタルアニメ学科・サウンドクリエイト学科等、7分野15学科(工業専門課程、文化・教養専門課程)を設置する専門学校である。在籍学生は1600名、専任教職員は90名を超える規模を持つ(2015年)。15学科全てが職業実践専門課程の認定を受けるとともに、高度専門士を授与する4年制学科(ITエキスパート学科)も設置しており、ICT技術を幅広く教育している。神戸電子専門学校は、福岡富雄理事長が1958年に神戸市で各種学校として創設した神戸電子学園を淵源とする。創設当初、教員は福岡氏1名、生徒数十名からスタートした学校は、テレビ・ラジオ、各種家電等の電子機器の大量生産・大量販売が始まる高度経済成長のなかで生じた修理技術者・電気工事技術者の人材需要に対応することで規模を拡張した。時代が求める技術教育を提供することで、職業人養成の学校としての社会的地位を確立していったのである。1年制課程からスタートした同校は、1965年に現校名に改称するとともに2年制課程を開設し、創設者が有していたコンピュータへの関心をもとに、電子工学からソフトウエア、プログラミングにその対象範囲を広げてきた。学校の発展過程で注目すべきことは、電子計算機と称されていたコンピュータへの関心から、最先端の電子計算機を導入し、その構造と設計を自ら研究し、その成果を国内初のコンピュータ技術の体系的教科書としてまとめ、1971年に出版したことにある。当初、自校の教材として想定して作成したが、電子計算機とプログラミングの基本原理を概説する先駆的な書物として、松下電器や三菱重工業等の企業の社内技術教育、大阪大学や関西大学等の大学の工学系学部の教材として活用されたという。ここに、時代が求める技術教育を受容的に提供するだけでなく、先駆的な取り組みに挑戦しようとする同校の特徴を見ることができる。その後、1975年に創設された専修学校制度のもと、76年に専修学校として認可を受け、1977年には学校法人化を進めた。日本社会全体のオートメーション化が進み、高度情報処理技術を持つプログラマーが必要とされるなかで、その技術者を養成する専門学校として発展していく。現在、デリクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017時代の変化に対応し、創造性や課題解決に情報技術を活用できる職業人を育成神戸電子専門学校福岡壯治 校長神戸情報大学院大学炭谷俊樹 学長神戸情報大学院大学福岡賢二 副学長C A S EICT領域コンピュータ総合学園
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