カレッジマネジメント203号
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37ジタル技術は、コンピュータアート等の直接関係する分野から、マルチメディア、3次元造形、360度サラウンドの音響技術等、応用・活用分野まで、あらゆる領域に広がっている。IT技術には安定的に入学希望者があり、ゲームソフト、3DCG等に人気があるが、学校としては、社会と企業のニーズの変化に対応していくため成長分野として、IT技術、グラフィックス、ビジネス分野の3つが連携したウェブビジネスへの対応を強化している、と福岡壯治校長は話す。「基礎」「専門」「実務経験」3段階の教育課程神戸電子専門学校では、全学科に共通したカリキュラムの特徴として、現場実践力を育てることを目的に、「基礎」「専門」「実務経験」の3段階の階層化された教育課程を組み立てている。「基礎」とは、専門職業人としての基礎力とともに職業人(社会人)としての基礎力を修得するものであり、「専門」とは、専門科目の学習と実習を通じて各分野の即戦力となれる専門技術を修得することであり、「実務経験」は企業等と連携した課題解決力等を養う経験を得ることである。技術は、それを活用できることが重要であり、問題解決能力は手足を動かしながら身につけていく。そうでなければ身につかないという考えがそこにはある。そして、職業教育として実務経験を全ての学科に含めていることに加え、職業実践専門課程の認定を受けることで、企業・産業界の声を聴く仕組みが導入され、企業にカリキュラムを開示することでパートナーシップとしてやっていこうという感じになっているという。そのことが、これからどういう方向で進めていくかというチャレンジにつながっており、それが大切だと福岡校長は話す。さらに、職業教育としてICT技術を教える専門学校としての特徴は、社会の変化のなかで積極的に新しい取り組みを進めていることにある。現在の社会では、産業界、クリエイター、エンジニア、どの領域でもICT機器、ICT技術を扱っている。しかし、社会や生活のあり方を技術により変えていく、生活を面白くしていく、クリエイティブエンジニアの育成が日本では弱いのではないかと、福岡校長は感じていた。そこで、2015年に、神戸電子専門学校の学校全体のミッションを再定義する検討を行い、「Creative Engineering」をキーコンセプトに位置づけ、「技術教育」を基盤にしながら、アイデアを触発し、かたちにする力を育成することを重視する教育に取り組むという方向性を定めた。この方向性を具体化する一例として、2016年4月にWebエンジニアコースとして、資格取得よりも新しいものをつくることに主眼をおいたコースを新設し、試験的に取り組んでいる。3カ月ごとの成果発表会やハッカソン(プログラマーやデザイナーがチームを組んで、数時間から数日の与えられた期間のなかでソフトウエア開発に取り組みアイデアや成果を競い合う開発イベント)を行う等、答えのないことに取り組むことで突破力のあるエンジニアを育てる試みである。このような学校の方向性を実現するためには、教員が重要である。先進的取り組みを行っている他校の取り組みを見学する研修や、地元を含め、ステークホルダーを訪問すること等、個々の教員に社会変化のなかで考える教育を提供できる力をつけてもらうことに取り組んでいる。変化の激しい未来を主体的に生きるための技術教育を提供するために、学校のミッションを再定義したうえリクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017特集日本型職業教育の未来学科修業年限入学定員ITエキスパート学科4年40名ITスペシャリスト学科3年70名情報処理学科2年70名情報工学科2年35名情報ビジネス学科2年35名建築インテリアデザイン学科2年50名インダストリアルデザイン学科2年30名エンターテインメントソフト学科3年70名ゲームソフト学科2年105名グラフィックデザイン学科2年30名3DCGアニメーション学科2年30名デジタルアニメ学科2年30名声優タレント学科2年30名サウンドクリエイト学科2年30名サウンドテクニック学科2年30名総合研究科(※) 1年40名※「総合研究科」については、本校の「3DCGアニメーション学科または、グラフィックデザイン学科、デジタルアニメ学科」を卒業した者を対象とした「CGコース」、「建築インテリアデザイン学科」を卒業した者を対象とした「建築コース」を設置。文部科学大臣認定「職業実践専門課程」設置HPより編集部にて作成研究科修業年限入学定員情報技術研究科  -ICTプロフェッショナルコース  -ICTイノベータコース2年55名図表1 グループ全体図<神戸電子専門学校><神戸情報大学院大学>

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