カレッジマネジメント203号
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52面接試験をめぐっては、しばしば次のような問いが投げかけられる──「評価に入り込んでしまう面接者の主観について、どのように考えればいいのか」「ばらつく面接者の評価を安定させることはできないか」。そして、このような問題への対応策として、ルーブリック(Rubric、評価基準表)に着目する大学も出始めているようだ。面接で引き出した話をもとに、「この受験生は当事者意識も高く、周りを巻き込もうと積極的に動くことができていたから、『主体性』は5点」「この受験生はある程度自分の考えを伝えようと努力していたから、『主体性』は3点」「この受験生は基本的に周囲に頼りながら行動しており、流されるところが多いようなので、『主体性』は1点」等と得点づけ、合否判定に用いる。そもそもルーブリックは、思考力や判断力といった能力の育成を助けるツールとして教育現場で活用されるようになったものである。ルーブリックを見ながら目指すべき段階並びに現状を子どもたちと確認し、やるべきことの具体的イメージを持たせるというのが、典型的な使い方だ。育成のための道具が選抜場面にも浸透するようになった。そのように表現することもできるだろう。育成と選抜の違いに関して、今少し慎重になっておく必要はあるかもしれない。ただ、「何らかの判断基準が欲しい」「評価のブレを制御したい」「何がどのように評価されるのかについて、受験生と事前に共有しておきたい」といった考えから、選抜にルーブリックを導入しようとする力学が働くのは、ごく自然な流れであるようにも思われる。何より現行の推薦入試やAO入試は、その多くが試験実施から合否判定までを短期間で行っている。限られた時間での判断を強いられているがゆえに、評価のための道具を切実に求めるようになるという側面もあろう。この連載では、企業の採用面接を手掛かりに、大学入試における多面的・総合的評価への示唆を抽出しようと試みてきた。連載のラストに当たる今回は、「ルーブリックの効果」について検証することにしたい。採用面接においてルーブリックを重視している企業もあれば、そうでない企業もある。では、その効果はどのように表れているのか。面接にかけることができる時間(回数)との関連性をどのように見定めればいいのか。ルーブリックの威力を発揮させるための条件のようなものはあるのか。以下、順を追って見ていくことにしよう。リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017ルーブリックに込められる期待大学入試は、企業の採用面接から何を学べるかルーブリックはどのように有益なのか濱中淳子 大学入試センター3【最終回】
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