カレッジマネジメント203号
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55リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017積んでいる者こそ、大学入試は学力試験でやるべきであり、推薦・AO入試には限界があることを強く主張している様相がうかがえる。18歳という段階では相手の本質は分からないし、判断すべきではないと考えているのか。あるいは、基礎学力や学力試験に価値を見いだしてのことなのか、面接担当者としての大学教員の資質を疑問視しているのか。ほかにも理由は挙げられようが、そうしたなか、この結果を「人物評価はそれだけ難しいのだ」というベテラン層からのメッセージだと受け取ることもできよう。調査では自由記述欄として、面接試験を取り入れつつある大学へのメッセージ・アドバイスを記載してもらう枠を設けた。以下は、そこに寄せられた声のひとつである。内定まで30分という時間の面接を、ここ3年間毎年5人に実施している男性のものだ。 面接対策が過剰に発展しすぎて、個人の特色が見えず、必要な人材が取れなくなっている可能性がある。学生にとっては酷かもしれないが、定型文のみを返すような面接は企業側としても意義がないと考えている。採用担当者も、学生の個性を見抜くために苦慮している。恐らく入試を担当している大学教員も同じような問題を抱えているのだと思う。本質を見抜く努力を行い、必要な人材が集まるような面接を作っていってほしい。(情報通信業、従業員規模501〜1000人、40代)面接を含め、どのような評価方法であろうと限界はある。詰まるところ、広い視野を持ちながらも、様々な言説に踊らされることなく、冷静に模索を続けていくしかないのだろう。大学だけではなく、企業も苦慮しながら努力を続けている。当たり前のことを唱えているだけのように聞こえるかもしれない。取るに足らない結論だという見方もあろう。しかし、ここ最近の入試改革論議を見ていると、むしろこうした素朴で愚直な主張にこそ、新鮮な響きがあるように思われるのである。※1 「分からない」と回答した129人を除く度数分布である。(%)「人を見る目」自己評価得点ルーブリックの位置づけ面接経験図表2 ルーブリックは「人を見る目」の自信を高めるか図表3 面接経験別に見た大学入試への意見注:縦軸は質問項目「あなたは、採用面接における自分自身の『人を見る目』をどのように自己評価していますか」に対する4段階尺度の回答に「おおいに自信がある」=4点~「ほとんど自信がない」=1点と得点づけたものを用いている。0102030405060ほとんど積んでいないあまり積んでいないやや積んでいるかなり積んでいる2.02.53.03.5重要ではない・使用せずやや重要かなり重要推薦やAO入試では、能力をきちんと判定することはできない大学に進学するのなら、学力試験を受けるべきだ面接経験を積んでいる人面接経験を積んでいない人

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