カレッジマネジメント203号
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56リクルート カレッジマネジメント203 / Mar. - Apr. 2017本連載では、大学の入学者選抜において、高校と大学の教育の接続を担うもの、多面的・総合的評価を実践しているもの、独自の理念に基づく選抜を行うものをご紹介していく。初回は秋田県の公立大学である国際教養大学(以下AIU)を取り上げたい。理念を体現するタフなカリキュラムAIUは英語をはじめとする外国語の卓越したコミュニケーション能力と豊かな教養、グローバルな視野を伴った専門知識を身につけた実践力のある人材を育成し、国際社会と地域社会に貢献することを使命とする、リベラルアーツを軸にした教育を展開する大学である。世界に通じる広い視野や自由な行動力を持つために、4年間かけて自らの知の土台を築く独自の教育システム・カリキュラム(図参照)に高い評価を集める。AIUは入学希望者に「高い学習意欲」「鋭い問題意識」「国際社会で活躍することを志す志向性」「世界の多様な文化・言語・歴史等の国際関係性に対する強い関心・探求心」を求める。ここに前述した理念とアドミッション・ポリシーが明確に紐づいている。また、入学定員175名の選抜のために、16もの入試制度を準備している。その目的は多様性の確保であると、中津将樹入試室長は話す。「開学以来掲げるダイバーシティは本学を支える大きな価値観です。入試タイプごとに採りたい学生像は異なる。卒業後は外国人と競争して渡り合える人材を想定しており、それは多様な価値観に揉まれてこそ。また、言語や学事歴の問題ではなく、教育の中身や勉強量も国際水準です。それに耐えられるスキル・スタンスを入試で見極めるのは当然のこと」。誤解が多いようだが、AIUは語学としての英語を学ぶ大学ではない。理念にあるように求められるのは「グローバルな視野を持って国際社会と地域社会に貢献する」ことであり、英語はその専門分野を学ぶうえで必要な国際通用ツールである。専門教育を英語で学ぶことにこそ意味があり、AIUの競合優位性があると言えるだろう。そのために入学後は徹底的に英語力を磨き、高校までの学びと大学での学びの違いに備える。基盤教育から全授業を英語で開講し、授業の宿題も多く課す。思考力や論理性がなければ議論に参加することすら難しいが、壁にぶつかり試行錯誤する経験を多く積ませることこそが有意義であり、そこで同志と切磋琢磨しながら挑むことで、将来につながる地力が培われていくのである。全ての学生に対し、2年次以降には1年間の留学が義務づけられており、留学先の専門教育を英語で学ぶ。こうした経験を経て、世界と自分、社会と自分といった十人十色の軸を獲得していくのである。卒業生による質の高いマッチング選抜こうした濃密な教育を4年間受けた卒業生は、まさにAIUの理念を体現する存在だ。ある企業の人事担当は、「AIUの学生に期待するのは英語力よりもタフネス。在学中に課されるハードルの数と高さが、他校の追随を許さない」と言う。学生を徹底中津将樹 入試室長国際社会で活躍するポテンシャルとダイバーシティの確保高大接続の入学者選抜1新連載国際教養大学

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