カレッジマネジメント203号
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浮遊感の開拓者 直径2メートル前後の大きな鉄製の輪が立ち並ぶ。その輪の中に人が入り、ダイナミックな回転技を見せてくれたのは、松本大学・ラート競技部のメンバー達。2015年、16年と、全日本学生ラート競技選手権大会において団体連覇を達成した強豪チームだ。ラート競技とは、2本の鉄の輪を平行につないだ器具を用いて様々な演技を行う。器械体操のアクロバティックな動きと新体操の美しさをプラスした競技といえる。現在18名の部員を率いるのが部長の小野 剛さん。「2012年に創部し、世界選手権等で活躍された森 更紗コーチや、OBの方々の指導を仰ぎ、着実に力をつけてきました。競技とともに、地域活動でのパフォーマンスやラート体験等も実施しています」。そう語る小野さんも大学入学後にラートを始めた。「新入生勧誘時に初めて体験し、1回転した瞬間に『面白い!』と感じて入部を即決しました(笑)」。小野さんいわく、一瞬にして「宇宙遊泳のような不思議な浮遊感」の虜になったという。しかし、競技では危険も伴う。「実際、私も競技中にケガをしました。通常、1名の補助者と共に演技をするのですが、タイミングがずれると床に落下してしまうこともあるのです」。ちょうど部長の任命時期とも重なり、「ケガをしているのに部長になって良いものか」と考えたという。それでも「ラートが好き!」というメンバー達と共に、先輩達が残した功績と志を引き継ぐことを決めた。毎年、大会での競技終了後には、デモンストレーション演技が行われる。2016年の大会では、全部員で臨んだ『ライオンキング Circle of life』という演目を披露。会場全体に感動を呼び、優勝となる「ベストパフォーマー賞」を受賞した。「この賞は、みんなの表現力の総決算でもあり、ラートの魅力を知って頂く機会でもあります。これからも一致団結した演技で、ラートを少しでも普及させたいですね」。小野さん達のような想いを持った「浮遊感の開拓者」がラート競技普及への道筋を切り拓いてくれるだろう。 (写真・文/西山俊哉)小野 剛 さん(人間健康学部 スポーツ健康学科3年)学生のリーダー松本大学 ラート競技部当代当代Vol.65小野剛
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