カレッジマネジメント204号
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15リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017特集認証評価第3サイクルに向けてし、各学位段階で学生が学問分野に関わらず獲得することが期待される学修成果を抽象的な言葉で記述した「欧州高等教育資格枠組み」が提案されている。各国には、欧州高等教育資格枠組みに準拠しながら既存の制度に適用可能な国家資格枠組みを策定すること、各大学には、学生が取得した学位・資格の制度的性格を理解するため必要な情報を記載した学位添付資料「ディプロマ・サプリメント(図表1)」を作成することが求められている。単位制度では、25〜30時間の総学習時間(授業出席時間と授業外学習時間の合計)を1ECTS単位に換算(年間1500〜1800時間=60ECTS)する「欧州単位互換累積制度」が提案されている。ただし総学習時間は、各科目の学習成果を習得するために取り組むべき学習量(workload)を達成するために、標準的な学生が必要とする時間として算出されており、全ての学生に一律に適用しようとするものではない。質保証制度では、各国で実施する高等教育機関の適格認定(アクレディテーション)における連携協力が推奨されており、欧州高等教育質保証協会(ENQA)によって2005年に策定された「欧州高等教育圏における質保証の基準とガイドライン(ESG)」が共有されている。チューニング─学問分野別学修成果枠組みの共有ボローニャ・プロセスが制度的枠組みの共有を通して欧州高等教育圏の確立を目指す政府主導の取り組みであるのに対して、チューニングは学問分野別学修成果枠組みの共有を通してボローニャ・プロセスの実質化を目指す大学の主体的取り組みである。学問分野の教育を通して学生にどのような知識と能力を身につけさせたいのかについての合意を形成し、それを学問分野別学修成果枠組みとして共有するとともに、学修成果獲得に向けた学位プログラムを設計する方法を提案するものであり、2000年以降、欧州連合の助成金を受けながら、42学問分野で手掛けられてきた。チューニングにおける学問分野別学修成果枠組みには、大きく3つの特徴がある。第一に、大学教員によって、学生・卒業生・雇用主との協議に基づいて策定されている。学修成果の学術性だけでなく、「社会的レリバンス(妥当性)」も確保することが狙われており、学問分野の知識や能力は社会的文脈の中でどのように活用され得るのかが、社会との対話の中で考察されている。第二に、チューニングにおける学問分野別学修成果枠組みは、包括的かつ網羅的に記述されている。各大学には、自らの学位プログラムの目的、学生ニーズ・進路先、教育資源等を勘案しながら、学修成果枠組みの中のどの学修成果を追求するかを選択し、「学位プロフィール」として表明することが求められている。同じ学問分野でも、伝統的なアカデミック・プログラム、実践的な職業教育を行うプログラム、他の学問分野との学際融合プログラム等では、焦点化する学修成大学α(3年)A, B, D, G学問分野別学修成果枠組み学修成果A~Z大学γ(2年)A, S伝統的なアカデミックな3年制プログラム実践的な職業教育を行う2年制プログラム学際領域5年制プログラム大学β(5年)A, B, C, S, T+他分野の学修成果学位プロフィール学位プログラムの目的、学生ニーズ・進路先、教育資源等を勘案しながら、追求する学修成果を選択する。項目記載事項(概要)1. 学位・資格保持者に関する情報氏名、生年月日、学生ID番号2. 学位・資格に関する情報学位・資格の名称(原語)、主たる学問分野、授与機関の名称及び地位(適格認定の状況)、プログラム提供機関の名称、授業・試験言語3. 学位・資格の水準に関する情報国家資格枠組みに位置づけた水準、プログラムに規定された学習量(総学習時間をECTS単位換算する)、履修要件4. 内容と成績に関する情報履修形態(フルタイム/パートタイム等)、学修成果・知識・能力、受講要件、履修科目、成績証明書添付、成績評価の基準・分布、学位・資格の種類についての説明(優等学位等)5. 学位・資格の機能についての情報アクセス可能となる進路(学位プログラム・職業)6. その他の情報インターンシップ、共同学位等の特筆すべき事項。連絡機関(機関の部局、NARIC, ENIC等)7. ディプロマ・サプリメント証明発行年月日、責任者の氏名と身分、公印8. 当該国の高等教育システムに関する情報国家資格枠組み(欧州高等教育資格枠組みとの対応を示す)図表1 ディプロマ・サプリメントの概要(欧州委員会・欧州評議会・UNESCO/CEPES案)図表2 学問分野別学習成果枠組み※学位・資格の制度的性格について説明することを目的としており、学位・資格取得者の能力プロフィールの説明を目的として いるのではない。

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