カレッジマネジメント204号
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24日本高等教育評価機構(以下、「評価機構」)では2011年度から第2サイクルをスタートさせ、大学の自律的な自己点検・評価を重視し、自己点検・評価の実質化を目指すとともに、エビデンスに基づく評価を行っている。2005年度から2016 年度までの12年間で、延べ539大学、9短期大学の機関別認証評価を実施するとともに、ファッションビジネス系専門職大学院の認証評価を2度実施し、特色ある取り組みや他校の参考となる優れた取り組み等を公表してきた。2015年度に受審した68大学に対して行ったアンケート結果を見ると、「自己判定や認証評価により、大学が抱える問題点が明確になったか」の問いには、「そう思う」という回答が83.8%と多くを占める結果となった。また、「認証評価は、大学の改革・改善を支援・促進する契機になるか」という問いには、82.4%が「そう思う」と回答し、「そう思わない」という回答はなかった。これらの回答から認証評価が大学改善のための一定の成果を上げつつあると言えよう。しかし、評価の負担などいくつかの課題が指摘されている。2018年度から始まる第3サイクルに向けて、評価機構ではこの3月に評価基準の改定を行った。第3サイクルに向けての考え方や方向性2016年3月に公布された文部科学省令では、認証評価は、教育環境等の外形を中心にした現在の評価方法から、学生の学修成果や各大学における成果把握と転換の取り組み(内部質保証)といった、成果を重視した評価に改善することが求められることとなった。これを踏まえて評価機構では、2018年度からの実施を目指して、実施大綱と評価基準の改定を行ったところである。具体的な変更ポイントは以下の通りである。(1)内部質保証を重視した評価実施大綱の主な変更点は、まず、内部質保証を重点評価項目として設定したことである。評価目的の1つに、大学の内部質保証への支援を明確に示すとともに、内部質保証を重点評価項目として位置づけて、評価を行うことを基本的な方針に追加した。そこでは、各大学のエビデンスに基づく継続的な自己点検・評価等を通じて、教育研究及び大学運営全般に対する各大学の自主的・自律的な内部質保証について、その他の5つの基準の評価とも関連づけて評価を行うこととした。それに加え、設置計画履行状況等調査結果への大学の対応状況確認、認証評価後のフォローアップ、評価における社会との関係の充実・強化等についても対応した改定を行った。(2)評価基準を現行の4つから6つへ変更評価基準は、現行の4つの基準を6つとし、3つのポリシーを中心とした基準とした。具体的には現行の「基準2.学修と教授」を、「基準2.学生」「基準3.教育課程」「基準4.教員・職員」の3つの基準に分けた。新基準では学生のための評価として捉え、「学生」を2番目の基準として明確に位置づけた。「基準3.教育課程」では、大学の教育を可視化し、教育課程、教育内容・方法及び学修指リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017日本高等教育評価機構の評価基準の考え方と変更ポイント日本高等教育評価機構大学の改革を下支えする評価制度伊藤敏弘日本高等教育評価機構 事務局長 兼 評価研究部長

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