カレッジマネジメント204号
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34リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017載されているが、エビデンスに基づき、しっかりと自己点検・評価をしていることがよく分かる。IR推進室のデータ分析のフィードバックは、全体的傾向は教授会で、当該部署には個別面談で、「こういう結果が出ているから改善して下さい」と丁寧に伝えているという。英語の授業を増やすことや、シラバスに学生の授業外学修時間の目安を書くようにといった取り組みも、こうしたフィードバックを通じて実現されている。授業外学修時間の増加を期待しない教員もいたが、AP事業で目標に掲げた数値をフィードバックすることで協力体制を築くことができたという。少しずつ何かやらない限りは増えることはないと説得したが、その根拠を示すに当たり、やはりデータと分析の力は強いと感じたという。こうしたファクトの蓄積と同時に、ビジョンも不可欠だという。ファクトが分かってもどのように変えるかの方向性を示すのは、ビジョンの問題だからだ。教授会や理事会で説明し、賛成した学長のビジョンや方針があることが極めて大事だと強調する。英語による授業導入も初めは負担感からか教員の抵抗は大きかったが、意欲のある学生に選択肢を与えて、興味のある学生を伸ばしていくためにも必要で、学生のためになるものだからと訴え続けることで徐々に協力する専攻が出てきて、最終的に全専攻で必ず1科目は英語授業を行うことになった。国際的視野を持った女性を育てるという大学の方針を全員で共有したことの効果が大きかったという。また、プランを実行していくうえで重要な事務体制についても、2016年に大学改革推進課を、やはり学長直属組織として設置した。これにより議論や意思決定のスピードが増し、改革については大学改革推進課が担当ということが、学内的にも分かりやすくなったという。学長のリーダーシップが改革を進めるうえで欠かせないが、それを支える事務体制ができたため、ビジョンを具現化する流れが整備され、非常に助かっているとのことである。学長のタイプとリーダーシップお話をうかがうなかで、前々学長の頃から徐々に改革を進めた成果が、近年になって表れつつある印象を受けた。将来計画推進委員会が設置されたのは前々学長時代の2005年。また、1学部1キャンパスの利点を述べておられたが、以前は現代文化学部と文理学部の2学部体制だった。2009年といえば、多くの大学が学部の新増設を重ねていた時期だが、時代に逆行するかのように、1学部体制にしたのも前々学長であった。教養教育を重視するなら、全学生に同じ内容を提供すべきだとして改革したという。自己点検・評価委員会と将来計画推進委員会を連動させる仕組みを作り、10年以上このやり方でやってきた。この仕組みに加えて、前述の通り、小野学長が2014年に就任してすぐに、東京女子大学グランドビジョンを策定し、皆が目指すべき方向性の共有にさらに役立っている。何かその頃から変化があったのかと尋ねたところ、前々学長から3代にわたり、卒業生で学内出身の学長が続いているという。学長の選考方法が変わったわけではないが、それ以前は学外出身の男性学長だった。卒業生で学内出身の学長の場合、脱皮をしたり殻を破ったりするような改図表3 改革のPDCAサイクル図改善案の検討の指示報告改善案の検討検証とフィードバック改革の方向性の共有支援課題の報告現代教養学部より(委員長)学長、学部長、全学共通教育部長、大学院合同研究科会議議長、学部教務委員長、大学院教務委員長、学部から3名、事務局長、大学運営部長、教育研究支援部長、総務課長学長(委員長)副委員長(副学長)、学部長、全学共通教育部長、大学院合同研究科会議議長、図書館長、国際交流センター長、自己点検・評価委員長、学部教務委員長、理事(学長推薦)、事務局長、大学運営部長、教育研究支援部長、大学改革推進課長自己点検・評価委員会学部・研究科・部署・委員会等自己点検・評価学長東京女子大学方針グランドビジョンと育成人物像IR推進室大学改革推進課将来計画推進委員会各部署のPDCAサイクル全学PDCAサイクル

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