カレッジマネジメント204号
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37ア太平洋の未来創造」を謳う。APUの学生5800名のうち、約半数が国際学生(=留学生)である(図表1)。2016年現在、90の国・地域から学生が集う。その内訳は韓国(507名)、ベトナム(502名)、中国(456名)、インドネシア(361名)の順。国際学生の実に9割がアジア太平洋諸国出身者だ。同時に、開学以来これまでに138の国・地域から学生を受け入れてきた実績も、国際大学と呼ぶにふさわしい。学生だけではない。教員集団の半数が海外出身で、国籍は25カ国以上に及ぶ。日本人教員の多くも海外大学でPh.Dを取得している。大学全体で最も国際化を進めているトップランナーの一つがAPUだと言っていい。多文化共生キャンパスで展開する「混ぜる教育」既に本誌183号(2013年)の特集「寮内留学」で取り上げたように、APUには「APハウス」(学生寮)が完備され、日本人と外国人との混住が実現している。キャンパス内のAPハウス1・2では2016年現在、52カ国・地域、1073名の学生が共同生活を送る。学生の国内国際比率は4:6で国際学生のほうが多い。当然、寮内は日常的に異文化・多言語が入り混じる多文化空間になる。もちろん、異文化の接触は軋みも生む。しかし、APUはそうした多文化環境を強みと捉え、正課内外で徹底的に活用しようとしている。正課内で進めているのは、授業の「多文化協同学習」化だ。多文化協同学習とは、国内学生と国際学生とが交じり合う「多文化学習」と、PBLや反転授業を取り入れた「協同学習」を組み合わせたもの。吉松副学長は、この授業形態を全ての授業で実施し、100%にもっていきたいと語る。そのために、数年前から開発している「APU Value Rubrics」を活用して、パフォーマンス評価を試みているという。さらに、授業では同一科目を日本語でも英語でも開講するだけでなく、言語が上達した上回生向けに、一部科目で英語も日本語も使う授業を開講するなどの工夫もしているそうだ。講義型授業でも、国際学生が入りやすい授業のやり方として、ディスカッションを多く取り入れるなど、国内学生と国際学生が交じり合うような要素を入れ込むようにしている。この結果、開学当初に比べて、国内学生と国際学生が交流する機会が増えてきている。正課外でも取り組みが進む。入学当初には、FIRSTと呼ばれる1回生向け海外派遣プログラムが設けられていて、180名ほどを韓国に送り、グループごとに各地でフィールドリサーチをするという。さらに、キャンパスではマルチカルチュラル・ウィーク(Multicultural Weeks)と称し、インドネシア・ウィーク、バングラデシュ・ウィーク、ネパール・ウィーク等々、特定の国・地域の文化や社会を紹介するイベントが頻繁に開催されている。国内・国際学生が協働して企画を行い主体的に運営するイベントで、異文化間の交流・理解を深める格好の機会となっている。APUの多文化共生キャンパスは貴重な教育資源として、得難い教育効果を生んでいることは明らかだ。こうした国内・国際学生を「混ぜる教育」がAPUにおけるグローバル教育の醍醐味だ(崎谷実穂他著『混ぜる教育』日経BP社,2016年5月刊)。ポイントは、正課内外、つまり大学全体で学生がグローバル人材に育つ環境や機会が準備されている点だ。多くの大学にみられる「出島」式のグローバル教育とは一線を画すと言っていい。ただ、吉松副学長の目にはまだまだ改善の余地があると映るようだ。国際大学としてAPUは今後、「グローバル」をどう打ち出していくべきか。吉松副学長は2点指摘する。1つは、強みである多文化環境をもっと活かす取組みを推進していくこと。前述の授業の中での多文化協同学習や、マルチカルチュラル・ウィークといった取り組みを充実させ、国際・国内学生がもっと交わる仕掛けを作っていきたいと述べる。もう1つは、校友(卒業生)との連携強化だ。2003年に設立された「APU校友会」は約1万3000名の会員を擁し、その半数を国際学生が占める。海外には22の校友会支部(「チャプター」と呼ぶ)ができていて、校友のネットワーク形成や交流に寄与している。グローバルに活躍しリクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017特集認証評価第3サイクルに向けて国際学生国内学生合  計アジア太平洋学部106018052865国際経営学部163710512688アジア太平洋研究科986104経営管理研究科73174合  計286828635731図表1 国際・国内別学生数(2016年11月現在)(人)

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