カレッジマネジメント204号
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41学院全体を見るとき、学生の9割は大学に在籍しており、どのように選択と集中を行うかは戦略的な経営判断が必要となる。「たすきがけ」によるガバナンス改革により、大学と法人が一枚岩となり、一貫性を持った意思決定を行う仕組みが整い、経営と教学のPDCAサイクルが統合されたのである。2016年に創設された「総合企画部」は、副理事長のもとで、法人の経営計画、大学の教学計画、大学を除く各学校の計画、グローバル化推進、認証評価・学校評価・自己点検・評価、認可申請を担当する組織であり、大学の学長室と執務空間を共有することで連携し、法人と大学のマネジメントを一体的に推進していくことを役割としている。「たすきがけ」体制のなかで、総合企画部を学長である副理事長が統括することで、経営と教学のPDCAサイクルのPlanとCheckを統合的に運用する体制が整備されたのである。この総合企画部の創設の背景には、総合大学として各学部・研究科や財務・施設・学生支援など各担当部署の専門分化が進み、組織全体としてのマネジメントが強くなかったことがある。そこで、総合企画部を創設することで、学長を中心とするマネジメント体制が作られた。18名の職員(うち専任職員11名)が、総合企画部で学長を支えている。そして、現在、総合企画部を中心に、創立150周年となる2039年を見据えた「超長期ビジョン」と10年間の「長期戦略」から成る「Kwansei Grand Challenge 2039」の策定が進められている。関西学院では、このビジョン・戦略を実現するための「教学計画」と、経営資源の「基盤計画」(人事、財務、建設、情報化)を合わせた「中期総合経営計画」に基づいたマネジメント体制を整備していく(図表1)。これまでは、5年間の中期計画を策定してきたが、2014年に文科省のスーパーグローバル大学創成支援事業(以下、SGU)に採択されたことを踏まえ、マネジメント体制と教育改革の仕組みを整理し、新たな経営計画の策定を進めることとした。「SGUは、大学全体の改革プランであり、多岐にわたり影響する。それを含めた計画を策定している」と村田学長は位置づけている。そして、超長期ビジョンでは、OECDによる「Education 2030」や文部科学省の諸政策の動向を念頭に置きながら、AIの発展の影響、18歳人口の減少、関西経済の動向など社会と世界の未来予測を独自に行い、そのなかに関西学院のあるべき姿を描くものとして構想しているという。20年を超える期間を対象とする経営計画は他大学にも例がなく、独自の未来予測のなかで、関西学院の社会的意義を位置づけることは挑戦的な取り組みとなる。そして、超長期ビジョンをもとに長期戦略を設定し、経営上の基盤計画を策定した上で、3年間の教学計画を進めていくことで、内部質保証を運用していく。同時に基盤計画、教学計画は1年間ずつ検証しながら実行していくことで、内部質保証を実質化していく構造である。内部質保証を、超長期ビジョンと長期戦略のなかに位置づけ、ヒト・モノ・カネ・情報のあり方を含めることで実効性をもたせることが意図されているのである。KPIダッシュボードによる重要指標の可視化このようなマネジメント体制の改革とともに、関西学院大学が内部質保証の具体化のために独自に進めてきたことが、リクルート カレッジマネジメント204 / May - Jun. 2017特集認証評価第3サイクルに向けて大学全体の教学計画(カテゴリごと)学部・研究科の教学計画各学校の教学計画財政計画建設計画情報化計画人事計画教員職員世界全体の「未来予測」本学を取り巻く「外部環境分析」「内部環境分析」(重要課題の整理)関西学院 超長期ビジョン中 期 総 合 経 営 計 画学院全体の教学計画学院全体の基盤計画大学の教学計画関西学院 長期戦略経営資源確保の基本方針2039年(創立150周年)10年3年10年図表1 次期将来構想・中期計画の全体像

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